最終更新日:2023年11月10日
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移動販売の開業をするためには、初期投資の費用や資格だけでなく、必要な手続きについてあらかじめ把握しておかなくてはいけません。とくに食品を扱う移動販売の業種は数多くあり、商材によって申請手続きの内容が変わってくるためです。
無許可の場合は罰則や営業許可の取り消しなどを受けるおそれがあるため、正しい知識を身につけておきましょう。またメリットの多いフランチャイズ経営にもふれていますので、ぜひご覧ください。
移動販売の開業に必要な資金は業態や取り扱う商材によっても異なりますが、約200~500万円前後といわれています。移動販売には衣類やアクセサリーなどさまざまな業態がありますが、中でも食品を扱うフードトラックなどの開業許可数は年々増加傾向にあります。
近年はオフィス街周辺や大学などのランチ販売のほか、高齢者などが多い地域では巡回販売するスーパーもあり、サービスも多様化しているのです。ただし食品を扱う移動販売は、開業までに必要な手続きが多く資格も取得しなくてはいけません。
所定の手続きをおこなわないと開業できない場合もあるため、正しい知識を身につけておく必要があるのです。こちらのコラムでは、食品を扱う移動販売の開業や経営に必要な資金などをご紹介していきます。
移動販売車を入手するにはいくつかの方法があり、かかる費用もさまざまです。営業で使用する頻度や、自己資金にあわせて選んでみましょう。
〇新車の購入
移動販売車を新車で購入する場合は、専門の業者などに200~250万円前後(大型では500万円前後)で製作を依頼することができます。また、自分の車を持ち込んで改造してもらえる業者もあり、その場合は100~150万円前後の費用がかかります。さらに石窯やエスプレッソマシンなど、導入する厨房機材によっても価格に大きな差が出てきます。
〇中古車両の購入
中古で移動販売車を購入するには80~200万円前後の費用がかかります。ただし、中古車両の場合は走行距離や使用頻度によって、パーツの交換やメンテナンスを頻繁におこなう必要が出てくるかもしれません。状態がよくない車両ではメンテナンス費用が高くついてしまうケースもあるため、販売店に相談するなどして慎重に決めましょう。
〇レンタカーの利用
レンタカーは車種が豊富で、用途によって好きな車両を選べるメリットがあります。中にはオプションとして、IHコンロなど厨房機材の貸し出しやスタッフの派遣ができる業者もあるのです。
レンタカーの費用相場は車種や地域によって異なりますが、1日あたり5万円前後、1週間で18万円前後のリース料がかかります。中には、1日1万円と安価で利用できる業者もあり、半年以上の長期レンタルでは、30万円前後の費用で借りられることもあるようです。
また平日と土日でも金額が変動する場合があり、車両の搬入出にも費用がかかるので事前に確認しておきましょう。いきなり自分の車を購入することに不安がある場合は、レンタカーで使い勝手を体験してから検討してみるのもよいかもしれません。
移動販売での開業を検討した場合、車両や設備の費用に重点をおいてしまいがちです。しかし開業資金の中には、経営を進めていくための運転資金が必要なことも忘れてはいけません。
とくに移動販売にはさまざまな経費がかかるため、移動販売車の製作に費用をかけすぎてしまうと運転資金が不足してしまうおそれがあるのです。まず移動販売で必要になる維持費から見ておきましょう。移動販売車の維持費としてかかるのは、おもに以下のような費用が挙げられます。
自動車にかかる税金や車検費用などは、車種によっても異なります。車両が大型になれば維持費も高くなる傾向があるため、運転資金を多めに見積っておくことが大切です。もし費用を抑えたいなら、軽自動車での開業をおすすめします。
そして移動販売の場合は、常に自動車で移動することから事故のリスクも高くなります。このためレンタカーの利用時も含めて、車両保険など任意保険には必ず加入しておきましょう。さらに移動販売では食品を扱うため、PL保険にも加入したほうがよいかもしれません。
〇PL保険には加入しておくべき
PL保険は生産物賠償責任保険ともいわれますが、提供する食品に対してかける保険です。例えば、提供した商品が原因で食中毒などの事故が発生したときや、商品の受け渡しの際にお客さんの服を汚してしまった場合などに補償が受けられます。食中毒が発生した場合は多額の損害賠償責任を負うケースもあるため、万が一に備えて加入しておきましょう。
〇車両の維持費以外にかかる経費も把握しておこう
移動販売は車両の維持費だけでなく、経営にかかる経費についても考えておくことが必要です。経営に必要な費用を洗い出しておかなければ、正確な利益を計上することができないため、内訳をしっかりと把握しておきましょう。移動販売の経費としてかかる費用は、おもに以下のようなものがあります。
開業する前には、収入がどれくらい出るかを把握するために、計画を立てて経営シュミレーションしておくと運営が進めやすくなるはずです。しかし、計画を立てた予測よりも経費がかかることがあるかもしれません。その場合には、経費を節約して経営の方法を工夫することも大切になるでしょう。
開業前に経営の計画を立てたとき、予算オーバーになってしまうことがあるかもしれません。自己資金が不足する場合は、資金調達が必要になります。一般的には、日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用することや金融機関などからの融資がありますが、負債を背負うリスクがあることから抵抗のある人もいるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、地方自治体がおこなっている補助金や助成金の支援金制度です。補助金は期間内に応募をして、審査に通過することができれば支給されます。また助成金についても一定の条件を満たせば支給され、複数の制度を利用することも可能です。何より返済の必要がない点は、大きなメリットといえます。
ただし、審査のある補助金は事業計画が判断材料にもなりますので、利益が得られる事業ということをしっかりとアピールすることが大切です。また、自治体によって独自の制度もあるため、公式ホームページなどで確認してみるとよいでしょう。
フードトラックなどの移動販売は、運転免許証を取得しているだけでは開業できません。開業までには、さまざまな手続きや資格が必要です。まず、保健所で営業許可と資格取得が必要となり、そのためには以下の3つの要件を満たす必要があります。
移動販売における欠格事由とは、過去2年間に食品衛生法の違反で営業許可の取り消しや処分を受けていないことです。法人の場合は、役員にひとりでも該当者がいれば営業許可を得ることができないので注意しましょう。
食品衛生責任者の資格は、管轄の保健所で約6時間前後の講習を受講すれば取得ができます。ただし、栄養士や調理師などを保有している人は講習の受講が免除されます。
食品衛生講習には、受講料として1万円前後の費用が必要です。講習会は月に1~3回前後で開催されており、日程は自治体によって異なります。また定員も決まっているため、余裕をもって予約し受講することをおすすめします。
そして人の許可と同じように重要なのが、車両の設備基準を満たすことです。移動販売の開業は保健所の定める設備基準を満たしていないと、検査を通過できるまで営業許可はおりません。スムーズに検査を通過するためにも、設備基準について知っておきましょう。
移動販売車両を保健所に持ち込むなどして、検査を受けることになります。設備基準としておもな検査項目になるのは、以下の通りです。
ただし、移動販売の設備基準は、開業する業態や地域によって異なることがあります。例えば東京都は、給水タンクの容量が販売業の場合は18L以上と定められています。しかし調理加工をおこなう場合は、40L以上の給水タンクを設置しなくてはいけません。さらに複数品目を販売する場合は、80L以上の容量が必要というように条件が変わるのです。
上記に挙げた基準以外にも自治体によっては追加の検査項目があるため、保健所に事前に確認することをおすすめします。また、仕込み場所が異なる場合は別途検査が必要です。仕込み場所についての注意点などは、このあと解説していきます。
移動販売の開業に必要な3つの要件を満たしたら、次に営業許可を取得します。営業許可は、食品の中でも取り扱う商材や出店場所の違いによって申請内容や申請先が異なるため注意しましょう。ここでは、まず保健所に申請が必要になる営業許可について解説します。
営業許可を受けるために必要となるおもな書類は以下の通りですが、保健所によっては提出する内容が異なる場合があります。二度手間を防ぐためにも、事前に管轄となる保健所に必要書類の確認をおすすめします。
書類作成から営業許可書が交付されるまでには、2~3週間ほどかかります。書類のほかにも、15,000円前後の許可申請手数料が必要です。取得した営業許可は、5年ごとに契約更新が必要になることも覚えておきましょう。自治体のホームページでは、申請書のダウンロードや配置面の記載例などを確認できることもあります。
しかし初めて移動販売を開業する場合には、書類の書き方でわからない点があるかもしれません。その場合は、保健所で直接アドバイスを受けてみるのもよいでしょう。
実店舗で開業する場合は、出店地域を管轄する保健所で営業許可申請をするのみです。しかし移動販売は、出店先を管轄する保健所ごとに営業許可が必要になります。
たとえ同じ県内での出店であっても、移動先を管轄する保健所が違えばあらためて申請の手続きが必要になります。そのため、申請手数料もその都度支払わなければいけません。また自治体ごとに許可の基準も異なるため、慣れるまではスムーズに手続きがおこなえないおそれもあります。
食品を扱う移動販売は、大きく販売業と調理営業にわかれており、提供する商材によって申請する営業許可が異なります。業種によって販売の条件や車両の設備基準が変わることがあるため、しっかり理解しておく必要があるのです。ここでは、食品営業自動車と食品移動自動車の違いについて解説します。
〇調理営業
調理営業は、車内で調理や加工して商品を販売する形態の食品営業自動車になります。基本的に生ものを取り扱うことはできず、調理加工に関しても盛り付けや加熱処理などの簡単なものに限られています。また、軽自動車の場合は複数の商品を取り扱うことができません。調理営業のおもな営業許可は、以下の3種類です。
・喫茶店営業
・菓子製造業
・飲食店営業
営業許可の種類によって、販売内容に制限がかかる場合もあります。例えば飲食店営業ではアルコールの販売が許可されますが、喫茶店営業の場合はNGです。
さらに複数の品目を販売する場合には、業種ごとに営業許可が必要になります。例えばクレープと飲み物を一緒に販売したい場合には、営業許可が異なることから喫茶店営業と菓子製造業のふたつの許可を取得しなくてはいけないのです。
ほかにもパンを商材に選んだ場合、食パンとサンドイッチで許可が異なることもあります。食パンの業種は菓子製造業に該当しますが、サンドイッチなど具材を盛り付けて販売すると飲食店営業の許可が必要になる場合があるのです。
〇販売業
販売業は、車内で調理や加工をせず食品の販売のみを行う食品移動自動車になります。食品営業自動車とは異なり、車内で食品や加工などをすることができません。基本的にはパック詰めされた商品を販売する形態となります。販売業のおもな営業許可は、以下の4つです。
・乳類販売業
・食肉販売業
・魚介類販売業
・食料品等販売業
営業許可は、地域によって判断基準が異なることがあります。このため、管轄の保健所に何を販売するかを伝えて事前にどの営業許可が必要かを確認しておきましょう。
移動販売で扱う商品の仕込み場所と営業場所が異なる場合は、それぞれ管轄の自治体で営業許可を取得する必要があります。基本的に仕込み場所は、加工調理が可能な衛生環境が整っており営業許可を受けた場所であることが必要なので、自宅を仕込み場所にすることはできません。仕込みスペースを確保するには、以下のような方法があります。
ただし、仕込み場所を設けると、場合によっては固定費が高くついてしまうおそれがあります。もし経費を圧迫したくないということであれば、仕込みが必要ないメニュー構成にしましょう。調理済みの冷凍品を車内で加熱するだけにしたり、カット加工された食材を使用したりするなど工夫の方法はさまざまです。
移動販売は屋外での営業が多いため、保健所は食中毒などの事故を発生させないように営業許可や要件などを設けて厳しいチェックをおこないます。このため、とくに初心者の場合は審査が厳しくなる場合があります。もし自分ひとりで申請するのが難しいと感じたら、行政書士や申請代行サービスの業者などにサポートを依頼するのもひとつの方法です。
移動販売の営業許可や申請手続き先は、保健所だけではありません。出店する場所によって申請先が異なり、許可を得ずに営業してしまうと罰則や営業の取り消しをされてしまうこともあるので注意が必要です。また、申請をしておくことで節税にもつながる場合があるので、ここでしっかり理解しておきましょう。
移動販売を始める場合は最寄りの税務署に個人事業の開廃業等の届出書、いわゆる開業届を提出します。開業届の提出は義務ではないため、届出をしなくても営業は可能です。ただし、移動販売を本業として経営し確定申告で青色申告制度の利用を検討しているなら、開業日から1か月以内に開業届の提出が必要になります。
開業届を提出した時点では白色申告ですが、青色申告することで収入によっては控除額が多くなり、節税につながることもあるのです。青色申告したい場合には、移動販売の開業から2か月以内に税務署へ青色申告承認申請書を提出しなくてはいけません。利益計画を立てて、どれくらい節税効果があるか確かめてみるのもよいでしょう。
移動販売を道路上で営業する場合は、所轄の警察署で道路使用許可の申請が必要です。申請手数料は約2,000円前後で、車検証の写しなどが必要になる場合があります。しかし、地域のイベントなどで一時的に許可を得られることはあっても、一般的な道路で個人的に使用許可を得ることは難しいのが現状のようです。
このため移動販売は公道ではなく、道路使用許可が必要ない私道で営業するケースが多いのです。私有地の所有者に許可を得ることができれば、路上での販売が可能になります。中には、駐車場や空き地の所有者に許可を受けて、移動販売を営業することも多いようです。
公園の敷地内などで移動販売を営業したい場合は、都市公園法に則り国土交通省や所轄の管理事務所などに申請が必要になります。無許可で出店した場合には、条例によって罰則が科せられることもあるため、事前に公園の管理事務所などに相談してみましょう。
自治体によっては、公園の利用者を増やすために移動販売の誘致をおこなっていることもあります。出店を検討している地域の自治体や管理事務所の公式サイトなどを確認してみると、情報を得られることがあるかもしれません。
近年は移動販売車もIH調理器などの利用により火災などのリスクは軽減されているものの、100%安全とはいいきれない点もあります。個人的に公園や道路上などで出店するには問題ありませんが、イベントなどに出店する場合は消防署のチェックを受ける場合があることを覚えておきましょう。
過去に京都の花火イベントで起きたガス爆発事故をきっかけに、露店や移動販売などに対して消防署のチェックが厳格化されました。これによりイベントの主催者によっては、事前に熱源の種類や厨房設備の配置図などを提出しなくてはいけないケースもあります。移動販売でイベントに参加する際は、出店条件なども把握しておくようにしましょう。
一般的に自動車は、車両の種類や用途でナンバー分類されています。移動販売には、おもに1ナンバーや4ナンバーの軽トラックやワゴンが使用されていますが、改造されていることがほとんどです。ここでは、改造した車両に必要な変更手続きや8ナンバーの取得について解説します。
移動販売を開業するために軽トラックなどの荷台部分を改造した場合は、車高が高くなることなどから車検が通らなくなります。もし、車検を通したいのであれば、検査時に荷台部分を取り外す必要があります。車検を受けられるように荷台部分を取り外せる構造にしても、車検のたびに大変な作業をしなくてはいけません。
もし荷台部分を取り外す手間をなくしたい場合は、8ナンバーの取得をおすすめします。8ナンバーを取得すれば、改造した車両の設備を積んだまま車検を受けることが可能です。また車種によっては、1年車検の車種でも2年車検に切り替えられ、費用を軽減することもできるのです。
ただし、車両を改造して車検登録の内容に変更がある場合は、構造変更の手続きが必要になります。構造変更手続きは普通車の場合は所轄の運輸支局で、軽自動車なら軽自動車検査協会でおこない、以下の書類が必要です。
さらに手続きをスムーズにするために、改造を施した部品の車検対応証明書もあわせて用意しておきましょう。構造変更の手続きには審査などがあるため、申請から手続き完了までに1週間前後かかり、事前に予約が必要になります。そして、8ナンバーの取得にも保健所の検査と同じように条件があります。
もし自分で構造変更の手続きが難しいようであれば、移動販売の製作を専門におこなっている業者などに依頼してみるのもよいでしょう。しかし2~3万円の手数料がかかってしまうというデメリットもあるので、自己資金に応じて判断してください。
移動販売車は、レンタル車両を使用して開業することもできます。レンタカーは初期投資を抑えられるだけでなく、保健所の許可申請など準備時間を短縮して移動販売の開業を実現させることが可能です。
中には、レンタカーをそのまま購入でき、出店場所の紹介や車両の点検整備をおこなってくれる業者もあります。また移動販売のレンタカー業者なら経験が多いことから、経営や販売についてのアドバイスを受けたり相談に応じてくれたりすることもあるでしょう。
ここでは、移動販売で開業するにあたって、事業の特徴などを解説していきます。移動販売のメリットだけでなく、デメリットも知ったうえで開業するか検討してみましょう。
移動販売は、独自のメリットや実店舗を構えるよりも有利な点がいくつかあります。移動販売の開業メリットは、おもに以下の通りです。
〇低資金で開業できる
店舗型の飲食店の開業には多額の初期投資費用がかかりやすく、物件取得や内外装工事などで1,000万円以上の資金を必要とするケースがあります。移動販売の開業であれば実店舗を設けることがない分、開業費用を抑えられるのが魅力のひとつです。
〇出店場所や働く時間を自由に決められる
基本的に移動販売は、人が多く集まる場所やイベントへの参加など、自分で出店先を選んでいくことになります。出店先や営業時間を選べるという点においては、自由度の高い働き方ができるといえるでしょう。
イベント会場などでは、参加条件として営業時間が設定されている場合もあります。その場合でも、条件を考慮して自分で参加を自由に決められるのが移動販売の特徴です。
〇家賃や人件費が抑えられる
実店舗で開業した場合、立地物件によっては毎月家賃を支払わなければいけません。しかし、移動販売では仕込み場所の立地にこだわる必要がないため、安く抑えられる物件の確保ができれば、経営を圧迫するリスクを軽減することが可能です。また、商材の販売方法などによってはひとりで経営を進めていけることから、人件費を抑えることもできるでしょう。
〇お客さんとコミュニケーションがとりやすい
移動販売は、お客さんとの距離が近いことも特徴のひとつです。お客さんとコミュニケーションを図りながら幅広い地域で営業すれば、各地にファンを作ることも可能になります。
〇仲間が増えれば情報交換ができる
イベント会場などでは、さまざまな移動販売が出店されるケースがあります。移動販売はお客さんだけでなく、仲間を増やすこともできるのです。移動販売の楽しさや困りごとなどを共有できる仲間を作ることで、情報交換ができたりや経営のヒントなどが得られたりするかもしれません。
ここまで移動販売のメリットを挙げてきましたが、デメリットがあることも把握しておかなくてはいけません。デメリットを知って、起こりうるリスクの対策をしながら安定した経営ができる移動販売を目指しましょう。
〇売上が季節や天気に影響されやすい
移動販売は、出店当日の天候が悪くなると屋外の人通りが少なくなることから、売上があげにくいというリスクがあります。もちろん天気予報などの情報をもとに、集客を予測して商品を準備することはできるかもしれません。しかし、天気によって売上が変動してしまうのは、移動販売のデメリットともいえます。
〇在庫をかかえるリスク
移動販売は、在庫をかかえるリスクがあることも忘れてはいけません。移動販売は実店舗とは異なり、設備や在庫をかかえるスペースなどに限りがあります。このためオペレーションの簡略化などを含めて、できるだけ商材を絞ることが大切です。
また商品の販売数を予測していても、急な天候の変化などで売れ残りが出てしまうこともあるでしょう。とくに食品の販売は、準備した商品が残れば廃棄ロスとなる可能性が高くなるデメリットもあるのです。
〇車両事故や故障のリスク
移動販売は自由に場所を変えることができますが、あまりに遠い出店先は避けたほうがよいかもしれません。移動距離が長いほど、交通事故やトラブルなどのリスクも高まります。燃料切れやパンクなどのトラブルが起きないように、車両のメンテナンスを定期的におこなうことも必要になるでしょう。
また出店先が遠くなるほど、高速料金や燃料費が利益を圧迫するおそれがあります。さらにイベントへの参加なら出店費用がかかるため、出店場所は、収支バランスのとれる範囲にしておきましょう。
〇出店場所を探さなくてはいけない
移動販売は自由に出店場所を選べるという反面、自分で探さなければいけないというデメリットもあります。祭りやイベントなどは毎日おこなわれているわけではないので、収入を継続して得ていくためには、出店先を確保し続けていく必要があるのです。そのためには、いつどこで出店するのか、計画を立てながら経営していくことが重要なポイントになります。
移動販売を開業して安定した収入を得ていくためには、さまざまな工夫が必要です。ここでは、費用の抑え方や集客をあげる方法などについて解説します。
移動販売を始める前は、「厨房設備を充実させたい」「お客さんの目を引く車両にしたい」などこだわりたい部分がたくさんあるかもしれません。しかし、移動販売の開業時は営業できる最低限の設備でスタートすることをおすすめします。
内装設備や見た目にこだわりすぎると、設備投資に費用をかけ過ぎてしまうおそれがあるためです。設備投資に費用をかけ過ぎれば運転資金が不足してしまい、経営が行き詰ってしまうかもしれません。
また出店する場所によっても集客数は異なりますが、開業当初は認知度が低いため安定した利益を得られるようになるまでには時間がかかることもあるのです。収支バランスを見て無理をせず少しずつ育てていくのも、移動販売の楽しみ方といえるのではないでしょうか。
業種にもよりますが移動販売車両を自作すれば、車両費をのぞいて設備費用を約50万円前後に抑えられる場合もあります。厨房設備が簡単な機材であれば、自分でそろえて設置することができるかもしれません。
しかし、移動販売の経験がない人の場合は、大きな厨房設備などを自分で設置することは難しいこともあるでしょう。開業後に使い勝手が悪く、購入を後悔することも十分に考えられます。さらに下手に手を加えてしまうと、車検や保健所の審査などが通らないおそれもあるのです。
開業が初めての場合は内装へのこだわりや資金不足でないかぎり、移動販売車の自作は避けて、中古車両の購入や専門の業者に改造を依頼するのがおすすめです。移動販売車を自作するのは、開業して実際に使い勝手を体験してから車両のカスタマイズしていくのが理想的といえるのではないでしょうか。
移動販売は実店舗がないため、定期的にイベントに参加するなどして認知度をあげて集客力を高めることが大切です。そして集客力をあげるには、自分から積極的に情報を発信することが重要なポイントになります。
また情報を発信することは、集客するためではなく移動販売の仲間とつながるきっかけになることもあります。仲間同士で情報交換などをすることで、出店先を紹介などのチャンスに恵まれることもあるでしょう。
情報発信の手段としてはチラシなどの広告でも効果はありますが、地域が限定され手間や費用がかかることになります。効果的なのはWebを活用した宣伝活動です。ホームページやブログはもちろんのこと、近年ではInstagramやFacebook、TwitterなどのSNSによる宣伝の手法が主流になっています。
また、移動販売経営者と出店場所のマッチングサイトを運営している企業もあります。登録をしておくことで、出店場所の紹介や運営サポートなどを受けることができます。さらに詳しい情報については、以下のページをご覧ください。
〇Mellow(メロウ)日本最大級のモビリティビジネス・プラットフォーム
さまざまなツールを使用していくことで認知度があがれば、全国各地に自分の店のファンを作ることもできはずです。ひとりでも多くのファンや仲間が作れるように、積極的な情報発信を心がけましょう。
移動販売を開業するには、いくつかの手段があります。ここでは、資金やリスクの負担を軽減できる副業やフランチャイズ加盟での開業についてふれていきます。
どんな事業においても数百万円の資金をかけたところで、すぐに経営が軌道に乗るとは限らないですし、成功するという保証もありません。とくに脱サラ開業として移動販売を始めた場合は、サラリーマンを辞めて収入がゼロになることで経済的に不安定になるリスクがあります。
そのリスクを軽減するには、週末起業など副業として小さく始めてみるとよいかもしれません。副業なら顧客を作りながら経営し、認知度をあげてから本業に切り替えることもできます。自分の提供する商材を、本業の前に腕試しすることもできるでしょう。何より週末だけレンタカーを利用して開業すれば、自己資金も少なくて済むメリットがあります。
ただし副業としての開業は、本業と両立させていく必要があります。副業によりプライベートの休みがとりづらくなる点はデメリットといえるでしょう。そして体調管理などをしておかないと、本業にも支障が出るというリスクを背負うことにもなるのです。副業の場合は、活動拠点の範囲や出店頻度など調整しながら経営を進めていくことをおすすめします。
移動販売は、フランチャイズに加盟することでも開業が可能です。加盟する本部によってさまざまなサポートがあり、初期費用や運営の経費を軽減して経営できる場合もあるのです。ここでは、フランチャイズ経営の魅力について解説します。
〇フランチャイズで開業するメリット
一般的にフランチャイズ開業すると、加盟者は本部のもつブランド力や登録商標の使用権利を得ることができます。ブランド力の高い本部の場合は、認知度が高く既存の顧客がついていることもあり、安定した集客を確保しやすいというメリットがあります。
ただし、加盟店は経営のノウハウなどを取得できる対価として、本部に毎月ロイヤリティといわれるお金の支払いが発生します。ロイヤリティの金額には本部から得られるサポートなども含まれているのです。
加盟する本部によっては、ロイヤリティ金額以上に価値のある支援を受けられる場合もあります。以下は、移動販売をフランチャイズ開業した場合に得られるメリットの例です。
初期投資や経費を大幅に軽減できるだけでなく、継続的なサポートを受けられるのは、フランチャイズ経営の大きな強みといえるでしょう。もしフランチャイズ加盟で移動販売の開業を検討されるなら、こちらのページもぜひご覧ください。
移動販売の開業には資格をはじめ、さまざまな許可や申請手続きが必要になります。開業前に計画を立てて、開業資金や経営にかかる費用をしっかり把握しておかなくてはいけません。
ただし移動販売は実店舗を構えるよりも低資金で実現はしやすいものの、リスクがまったくないわけではありません。このため、開業が初めてで不安に感じる場合は、副業で始めることやサポートの多いフランチャイズへの加盟を検討してみてはいかがでしょうか。できるだけ多くの情報を集めて、自分にあった起業方法で移動販売の開業を実現させましょう。
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