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2024/11/26更新

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飲食店を開業したい!資金調達の方法が知りたい

最終更新日:2023年11月10日

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飲食店を開業するためには、多額の資金が必要です。多くの人にとって、自分の貯金だけでまかなえる金額ではないはずです。そのため、足りない資金は調達する必要があります。ここでは、そんなときに知っておきたい、資金調達の方法について解説しています。調達をスムーズに行えるポイントにも触れていますので、開業を考えている人は参考にしてください。

まずは物件を確保!費用はどれくらい?

飲食店を開業するためには、まずは物件を確保しなくてはなりません。その際の費用として、敷金や礼金などがかかるのはアパートの部屋を借りるのと同じです。ただし、アパートの部屋を借りる際の敷金は通常家賃の2~3カ月分ですが、店舗として物件を借りる場合、敷金は家賃の10カ月程度必要です。借り始めにはお金がかかることを覚悟しておきましょう。このほかに、不動産業者に支払う仲介手数料、契約日からその翌月分までの賃料を最初に支払う前家賃などがあります。また、「居抜き物件」といって、前の店舗の内装や設備などをそのまま引き継ぐ場合もあるはずです。この場合は、前の借主に造作譲渡費を払う必要があります。
そして、飲食店開業のためには、このような物件取得のための費用だけではなく、店舗投資のための費用も必要です。店舗投資の費用とは、内外装工事や備品の購入など、物件を飲食店にするために必要な諸々の費用のことです。先に述べた「居抜き物件」の場合は、設備を引き継げるためこの費用を抑えることができます。しかし、通常は厨房を準備したり看板を設置したりと、さまざまな費用がかかります。この費用のことを忘れて物件取得にお金をかけてしまうと、店舗投資にかけるお金が足りなくなり、資金繰りに苦労することになりかねません。物件を探すときには、物件取得のための費用だけではなく、店舗投資のための費用も必要であることを念頭に置いておきましょう。

飲食店を開業するためにかかる費用とは

飲食店を開業するために必要な費用は、店舗の業種・業態、また物件によっても変わってきます。たとえば、大きなレストランを開業するのであれば、さまざまな料理に対応できる広い厨房が必要です。料理の種類が多いため、必要な食器の種類も自然と多くなります。また、複数の従業員を募集する必要もあります。従業員への教育や制服も必要です。これに対し、食べ歩き可能な軽食を提供する小規模なお店を家族で開く場合は、その料理を作れる設備さえあれば営業できます。従業員も募集する必要がありません。このように、店舗の大きさだけではなく、どのようなお店にするかによっても費用は変わります。
飲食店を開業するのにかかる具体的な金額は、「50~80万円/坪×坪数(敷金・礼金・保証金などは除外)」というのが1つの目安です。20坪のお店を開業したいのであれば、最低でも1000万円かかることになります。ただし、「居抜き物件」であれば、厨房などの設備をそのまま使えるので、同じ規模の物件であってもより少ない費用で開業できます。費用を抑えるために、希望する条件を満たす物件を探してみるのも良い方法です。
このように、飲食店を開業するためには、たとえ小さなお店であったとしてもある程度まとまった資金が必要になります。また、お店を開業してからは、このほかに電気代や水道代がかかりますし、お店のレジにもお金がかかります。飲食店開業にかかる費用は、物件と設備以外にもさまざまあることを覚えておきましょう。

資金調達の方法その1!血族や親族に借りる

飲食店を開業する資金を集める方法としてまず考えられるのは、配偶者や親、兄弟・姉妹、親族などからお金を借りるという方法でしょう。その場合、親しい仲であったとしても必ず借用書を作り、返済の内容、具体的には返済期日などをまとめておくようにしてください。借用書を作ることで、親族からの贈与ではないという証拠になります。この借用書がないと、親族からの贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があるのです。そのような事態を防ぐためにも、お金を借りるときは必ず借用書を作成し、返済は手渡しではなく銀行振込や現金書留で行うようにしましょう。通帳の記載が返済の証拠となります。さらに、全額をまとめて返済するのではなく、毎月決まった日に決まった額を返済することで、借金であることを証明しやすくなります。
また、自分で貯めたお金と親族から借りたお金で開業費がまかなえるとは限りません。その場合は、金融機関から融資を受けることになります。このとき、家族から調達したお金があるかどうかで、融資の額が変化することがあるのです。融資の際には、自己資金という用語があります。これは、自分が貯めたお金のことで、後で説明をする日本政策金融公庫では、「親族関係からの資金調達」を自己資金として認定してくれることが多いのです。融資するにあたっては、準備してきた自己資金の割合で起業に対する熱意が判断されます。そのため、親族からお金を調達することができれば、その分自己資金が増えることになるので、それだけ本気であることが相手に伝わります。結果として多額の融資を成功させやすくなるのです。
ただし、自己資金の全額が親族関係からの資金調達の場合、つまり自分で貯めたお金がまったくない場合は、親族からのお金があったとしても自己資金として認められません。一般的に、自分で貯めたお金と親族からのお金が、2対1ほどの割合であれば、親族から調達したお金も自己資金として認められるといえます。また、自己資金として認められるのは、返済義務のない資金に限られることに注意が必要です。つまり、親族に返済することを条件としてお金を借りた場合、そのお金は自己資金として認められません。そのため、融資を必要としている場合で、親族からお金を調達したいと思っている場合は、親族に対して返済できないことを説明し、承諾してもらう必要があります。家族からのお金で融資額が大幅に増えることがあるので、協力を得られるようであればお願いしてみましょう。

資金調達の方法その2!知人に借りる

資金調達の方法として親族の次に考えられるのは、知人に借りる方法です。この場合でも、親族から借りるときと同様に、必ず借用書を作成する必要があります。返済のときには銀行振込や現金書留を利用し、送金の公的記録を残すのも親族から借りる場合と同じです。そのほか、贈与とみなされるのを防ぐ方法として、利息を設定するという方法があります。たとえ1%であっても、利息が発生していれば借金と断定され、贈与税発生のリスクを大幅に軽減できます。
また、親族から資金を調達して有利に融資を進められるなら、知人からも資金を調達したうえで融資を受けようと考える人もいるでしょう。しかし、血縁・親族からの資金調達と、知人からの資金調達は、融資においては同じものではないのです。知人から調達した資金は、親族から調達した資金とは違い、自己資産として認められないのが一般的です。過去には、融資を有利にしようと知り合いからの資金調達を「見せ金」としたケースがありました。一時的に大金を借りることで自己資産が豊富にあると金融機関に思わせておいて、融資が成功してから借りていたお金をまとめて返すというものです。この場合、融資担当者はある程度の資金があると判断して融資をしたにもかかわらず、実際は運転資金が少なく倒産のリスクが高いので、だまされた形になります。このような「見せ金」を見極めるために、融資担当者は自己資産について厳しくチェックしているのです。
具体的には、通帳の履歴を最低でも過去6カ月は遡り、どうやって資金を貯めたのか、お金の流れを確認します。融資の面談前に多額のお金が振り込まれている場合には、「見せ金」の可能性があると疑われ、自己資産として判断されません。そのため、たとえばタンスにしまっておいたヘソクリなどの自宅で保管してあるお金を面談前に口座に振り込んだ場合でも疑われてしまうので、注意してください。自己資金は、きちんと通帳に記載が残る形で貯蓄するようにしましょう。
もし、知人から調達した資金を融資においても活かしたいという場合は、出資者の身元確認だけでなく、贈与契約書もきちんと作成しておくことが大切です。これらを作成することで、知人から調達したお金は返済義務のない贈与されたお金であり、「見せ金」ではなく資産であるということを証明できます。しかし、親族の場合と同様に、この場合は調達したお金を返済しないことになるので、知人との話し合いが必要です。

資金調達の方法その3!融資制度による日本政策金融公庫を活用

親族や知人からお金を調達する方法以外に、融資制度を利用する方法があります。飲食店開業のための融資であれば、日本政策金融公庫を利用するのがポピュラーな手段です。日本政策金融公庫とは、資本金の全額を政府が出資している政府系の金融機関で、おもに中小企業やこれから起業する人などへの融資を行っています。特に創業資金に積極的なところが特徴です。
日本政策金融公庫にはさまざまな融資制度がありますが、そのなかでも「中小企業経営強力化資金」で融資を受けるのが最適でしょう。これは、新規開業にあたって、事業計画の実施のために必要な設備資金や運転資金を融資してくれる制度です。似たような制度に、「新創業融資制度」というものがあります。この2つは、どちらも無担保かつ保証人が必要ないという点で共通していますが、「中小企業経営強力化資金」のほうが「新創業融資制度」よりも利率が約1%低いという利点があります。
また、普通の金融機関であれば、審査が通るまで何度も足を運ばなければなりませんが、「中小企業経営強力化資金」の場合はその必要がありません。認定経営革新等支援機関の支援がついているため、事業計画書などの必要書類や過去2年分の源泉徴収票、または確定申告書などの必要資料を準備すれば、あとは専門家が代行して手続きを行ってくれます。必要書類や必要資料はこれ以外にも複数あるので、提出するときには漏れがないように確認しましょう。
さらに、金融機関との融資面談を認定経営革新等支援機関の事務所で行えます。そして、専門家を同席させられるというメリットもあります。緊張してうまく答えられない場合でも、専門家がフォローしてくれるので安心です。場合によっては面談の予行演習をすることも可能です。融資においては、この面談がうまくいくかどうかが成功の鍵だといえます。他の制度では専門家が同席することはないため、この点は「中小企業経営強力化資金」のなかでも特に大きなメリットだといえます。面談は30分から1時間程度で終わるのが一般的です。スーツで行ったほうが印象がよいので、普段着ではなく、なるべくスーツを着ていくようにしましょう。
なお、一連のサポートをしてくれる専門家は、日本政策金融公庫から派遣されるのではなく、自分で探す必要があります。一般的には、ほとんどの税理士事務所が認定支援機関になっています。その際、「中小企業経営強力化資金」のサポートを求めている旨を伝え、それに詳しい専門家を選びましょう。

資金調達の方法その4!助成金や補助金を活用する

日本政策金融公庫以外の方法として、助成金や補助金を活用する方法があります。助成金や補助金は融資とは異なり、返済が不要であることが特徴です。飲食店開業の際によく使われるものには、キャリアアップ助成金や創業補助金があげられます。
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップに取り組む事業主を支援するための制度です。正規雇用への転換、人材育成、処遇改善などの取り組みを実施した事業主を助成してくれます。キャリアアップ助成金は目的ごとに8つのコースに分かれており、複数の条件に当てはまれば、複数のコースから助成金を得ることができます。おもに従業員関係の助成金ですが、従業員の人数は条件に含まれていません。そのため、小規模のお店であってもキャリアアップの取り組みを行っていれば助成金を得られる可能性があります。助成金を受給するためには、あらかじめ「キャリアアップ計画書」を提出しなければならないので、注意が必要です。これ以外にも複数の必要書類があり、コースによって違うので、受給を考えている人は確認しておきましょう。
そして、もう1つの創業補助金とは、創業に要する経費の一部を最大200万円まで補助してもらうことができる制度です。飲食業の場合は、こちらのほうが通りやすいといえます。この申請を行うためには、事前に認定市区町村からの特定創業支援事業を受けなければなりません。この特定創業支援事業を受けることで、創業補助金への応募のほか、会社設立の際の登録免許税の減免や軽減措置、金融面のサポートの拡充を受けることができるようになっています。また、補助金受給の申し込みの際に作成する事業計画書や申請書類には、認定市区町村の印鑑が必要です。中小企業庁関連のホームページで認定市区町村を探しましょう。事業計画書には新しさや独自性をアピールする工夫を行うようにしてください。なお、創業補助金の申し込みはいつでもできるものではありません。創業補助金事務局が募集を開始してからの申し込みとなるので、事務局のホームページを確認しましょう。
今回紹介した助成金や補助金ですが、実は利用時期が限定されています。開業してから約1年経過しなければ利用できません。そのため、開業するための資金にすることはできませんが、開業してからの運営資金として有効に利用できます。開業してから必要になるかもしれないので、検討しておきましょう。

資金調達の方法その5!地方銀行・信用金庫の制度融資

地方銀行や信用金庫の制度融資を利用して資金を得るという方法もあります。起業に関する融資制度は複数ありますが、そのなかでもよく利用されているのが保証協会付きの融資です。
信用保証協会というのは、国が作った独立行政法人のことです。この協会が企業側の保証人となって、銀行から中小企業・ベンチャーへの融資を促すという仕組みになっています。貸してくれる金額は、担保がある場合とない場合で異なります。土地や建物といった不動産の担保がある場合、保証してもらえるのは最大2億円までです。無担保の場合は最大8000万円まで保証してもらえます。また、保証協会付きの融資では、万一のときに企業の代わりとして銀行へ返済をするという補償があります。飲食店を開業するとき、成功するかどうかわからない不安があっても、このような補償があると安心です。
保証依頼の申し込みは、直接信用保証協会に申し込む方法と、地方銀行や信用金庫の窓口で申し込む方法の2種類です。信用保証協会に行って申し込む場合、担当者と直接話ができることが最大のメリットだといえます。資金の必要性や満たすことのできる融資の条件など、詳しく説明できるでしょう。融資は金融機関の窓口を通して行われるため、事業者の近くの金融機関を紹介してもらえます。一方、金融機関の窓口に行く方法は、申し込みに関する書類を用意する必要がなく、気軽に申し込みができるところがメリットです。こちらの間接的に申し込む方法のほうがメジャーです。書類の作成の際に銀行担当者のサポートが得られることも多く、なかには書類作成を代行してくれるところもあります。
しかしながら、飲食店を開業するときの資金調達の方法として、この手段の優先度は低めとされています。なぜなら、融資までのスピードが遅いというデメリットがあるからです。申し込みした金融機関と信用保証協会で審査が二度行われることや、書類のやり取りに時間がかかることなどから、審査結果が出るまで2カ月かかることもあります。途中で追加の書類が必要になった場合はそれを提出しなければならず、開業前に資金調達できない可能性が大きいのです。提出しなければならない書類の種類も多いので、場合によっては税理士など外部に委託する必要があるでしょう。
また、開業するお店が飲食店の場合、融資が実行される条件として営業許可書が発行されることをあげているケースが多いのです。営業許可書が発行されるのは営業の準備が整ってからなので、開業前に必要な資金にこの融資をあてることができません。地方銀行や信用金庫の融資制度を利用するときには、これらのデメリットを知ったうえで開業後の資金にあてるのがよいでしょう。

資金調達をスムーズに行うためのポイント

親族や知人から資金を調達する場合、なによりも飲食店の開業についての理解を得ることが重要です。そのためには、開業してからの計画もきちんと立てておかねばなりません。お店のコンセプトや強み、資金繰り計画などをはっきりさせ、それを根拠に協力をお願いしましょう。
また、補助金・助成金や融資を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。1つ目は、開業時の自己負担割合を20%以上にすることです。あらかじめ開業資金の内訳と金額を整理したうえで計算しましょう。開業に必要な資金に対して自己資産が20%を下回っている場合、金融機関からの融資を断られてしまう可能性が高くなります。どうしても自己資産が足りないときは、お店の規模を小さくする、貯金が貯まるまで待つなど、計画を考え直す必要があります。
2つ目のポイントは、代替調達手段を考えた計画にすることです。融資や助成金は、必ず利用できるとは限りません。断られてしまったり、お金が受給されるまでに時間がかかり開業資金としては利用できなかったりすることもあります。そういった場合に備えて、代替調達手段は考えておくべきです。具体的には、開業資金に事業者用のローンを利用する、備品を購入するときにはクレジットカードで分割払いにする、内外装や厨房機器についてはリース会社を利用するなどの手段があります。このような代替手段を考えていることを開業計画書に備考として記入しておくと、融資の際、開業についてよく考えているというアピールにもなります。
3つ目のポイントは、開業資金の回収計画を明確にするということです。開業に必要な資金調達がうまくいったとしても、それが返済できなかったら成功とはいえません。融資担当者も、特にこの資金回収計画を注意してみています。開業する資金を回収するのにかかる期間を算出するためには、投下資本利益率(ROI)という指標が使われています。当期経常利益を投下資本で割り、100を掛けた数値がROIです。ここでいう当期経常利益とは、開業した飲食店の1年間の売上高から仕入原価、人件費、家賃などの諸経費をすべて差し引いた純益(経常利益)のことです。投下資本とは、開業資金を指します。この公式で求めたROIの数値は、1年間で回収できる資金の割合を示しています。ROIを求めることで、何年で開業資金を回収できるかが計算できるのです。
また、この方法で求めた回収期間には、各業界によって平均値が存在しています。融資の際に提示した回収期間がこの平均値を大きく外れる場合は、担当者から計画が甘いと判断されてしまいます。平均値を大きく上回るためには、お店の戦略などそれなりの根拠が必要です。

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