最終更新日:2023年11月10日
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会社設立は業種によって必要になる申請手続きについて知っておくことが大切です。なぜなら、特定事業の場合は行政機関からの許認可を取得しなくてはいけないことがあるからです。また許認可を受ける資格の保有などが必要になり、無許可営業は罰則の対象になるだけでなく営業停止の処分を受けるおそれもあるため注意しなくてはいけません。
こちらのコラムでは、会社を設立するまでのおもな流れや必要になる許認可などについて解説します。また事業を法人化するにあたっての注意点にもふれていますので、これから事業の拡大を検討されているかたもぜひご覧ください。会社設立をスムーズにおこなうためにも、ぜひ参考にしてください。
事業目的は、会社の基本的なルールを定めた「定款」に記載が必要になる項目のひとつです。中でも事業目的は絶対的記載事項となっており、法律で記載が義務付けられています。
事業目的は、法律や秩序などに違反していないことと、直接的な利益を上げる事業であることが大前提です。定款の記載に反する行為で罰則が科せられることはないものの、事業目的に違反して得た利益は不当になってしまうことがあるので注意が必要です。
事業目的は、業種によって記載する内容が異なります。ここでは、事業目的の作成時における3つのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
定款は社外にも公開されるものなので、どんな活動をしているか会社の事業目的や方向性を正しく明確に伝えることが必要です。大企業ともなればさまざまな事業を展開することもあり、60個以上の事業目的を記載している企業もあります。定款に記載する事業目的の記載数に上限はありませんが、多く並べればよいというものではありません。
新規事業の立ち上げの場合に事業目的の数が多すぎると、何をする会社なのかわかりにくい印象になってしまうのです。このため事業項目は、5~10個前後に抑えておくとよいでしょう。
また事業目的を含めた定款は、金融機関から融資を受ける際に審査の判断基準になるものです。融資担当者が、事業の実行や返済能力に不安があると判断してしまえば、融資を断られてしまうこともあるので注意しましょう。
基本的に、定款に記載のない事業をおこなうことはできません。また定款は一度決定してしまうと内容を変更するために株式総会を開いて決議が必要になるので、手間や時間をかけてしまうことになります。さらに記載されていない事業をおこなう場合は、定款の変更手続きが必要になり登録免許税として約3万円の費用がかかってしまうのです。
とくに会社が成長すると事業拡大するケースが多いので、将来的におこなう予定のある事業があれば、事業目的に加えておくようにしましょう。そのため、定款の解釈に幅をもたせておくこともポイントです。事業目的の文末に、「前各号に付帯関連する一切の事業」と記載することで、関連性のある事業を目的の範囲内で展開することができます。
特定事業をおこなう場合は、行政機関からの許認可や届出が必要になります。この許認可や届出を受ける場合に、事業目的の内容が要件になっていることがあるのです。
要件を満たしていないと定款の変更が必要になり、許認可を取得することもできなくなるので注意しなくてはいけません。定款作成時には、おこなう事業に許認可や届出が必要かどうか、また適合する事業目的の要件なども確認しておくようにしましょう。許認可や届出については、このあとくわしく解説します。
もし事業目的の記載内容で不安がある場合は、設立予定に近い同業他社の事業を参考にしてみるのもおすすめです。企業によってはホームページからダウンロードできるほか、手数料を支払うことで法人登記簿の定款を閲覧することもできます。
また公証役場のホームページでも、定款の記載例をダウンロードできるので活用してみるとよいでしょう。もし自分で定款の作成に不安があるという場合は、行政書士や司法書士などの専門家に任せるというのもひとつの方法です。
特定の事業で会社を設立する場合には、行政機関に「許認可」の取得や届出をしなければいけないことがあります。条件を満たして許認可を取得しないと、開業できないことがあるのです。許認可は、業種によって申請先や難易度も異なります。ここでは、許認可が必要になる業種や注意点などについて解説します。
許認可は業種によって「届出・登録・認可・許可・免許」の5種類に分類されており、それぞれ管轄する行政機関に申請する必要があります。難易度は届出がもっとも簡単で始めやすく、免許が難しくなります。
区分 | 必要手続き |
届出 | 届出をおこなうのみで営業できる |
登録 | 定められた名簿に登録されること |
認可 | 定められた要件を満たすこと |
許可 | 管轄する行政機関の審査に合格すること |
免許 | 特定の有資格者が届出をして、さらに定められた要件を満たすこと |
許可・認可・免許の許認可は、所定の条件を満たす必要があります。たとえば飲食業の飲食店営業許可の許認可を受けるためには、食品の管理などについて学び食品衛生責任者の資格取得が要件となります。そして営業を開始するには、保健所による衛生管理や設備環境などの検査に合格しなくてはいけません。
さらに店舗の面積などによっては、防火管理者の資格も取得しなくてはいけないのです。
深夜を提供する場合は、「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出も別途必要になります。
このように許認可を受けるだけでも、さまざまな資格が必要になります。開業をスムーズにするにためにも、取得すべき資格についてはあらかじめ把握して準備しておきましょう。
許認可の申請先は業種によって異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。手続きに必要な書類や部数などは許認可の内容によって異なるので、管轄する行政機関の窓口などで相談するようにしましょう。一部ではありますが、許認可が必要になる業種や申請先は以下のようになります。
業種 | 許認可の種類 | 申請先 |
飲食業 | 飲食店営業許可 | 保健所 |
不動産業 | 宅地建設取引業免許 | 都道府県 |
酒類販売業 | 酒類販売業免許 | 税務署 |
整骨院 | 柔道整復師免許 | 保健所 |
美容院 | 美容所開設届 | 保健所 |
建築業 | 建設業許可 | 地方整備局または都道府県 |
介護事業 | 介護事業指定 | 都道府県 |
人材派遣業 | 一般労働者派遣事業許可 特定労働者派遣事業届出 |
労働局 |
旅館・ホテル | 旅館業営業許可 | 保健所 |
クリ-ニング業 | クリーニング所開設届出 | 保健所 |
リサイクルショップ | 古物商許可 | 警察署 |
警備業 | 警備業認定 | 警察署 |
医薬品販売 | 薬局開設許可 店舗販売業許可 |
保健所 |
たばこ販売 | 製造たばこの小売販売業許可 | 日本たばこ産業㈱ |
倉庫業 | 倉庫業登録 | 運輸局 |
旅行業 | 旅行業登録 | 運輸局または都道府県 |
旅行代理業 | 旅行業者代理業登録 | 都道府県 |
タクシー業 | 一般乗用旅客自動車運送事業許可 | 運輸局 |
トラック運送業 | 一般貨物自動車運送事業経営許可 | 運輸局 |
学習塾・整体院・ネイルサロン・通信販売業など、会社を設立する業種によっては許認可が不要で開業できます。ただし、一見同じような業種でも事業内容に違いがあるなど、注意が必要になる場合もあるのです。
たとえば「整体院」と「整骨院」は言葉が似ているものの、おこなえる施術内容には大きな違いがあります。整骨院の開業には柔道整復師の国家資格が必要ですが、整体院は整体師などの民間資格があれば経営を始めることができます。
ただし、民間療法を主体とする整体院では整骨院と異なり、骨折や脱臼などの対処をすることができません。このため国家資格をもっていない整体師が、骨折などの対処をおこなった場合は違反行為となってしまうわけです。
また美容院を営業する場合は理容師または美容師の国家資格を必要としますが、エステやネイルのサロンには、基本的に許認可や届出が不要で開業することができます。しかし、資金調達で金融機関に融資を申し込んだ場合に、資格を保有していないことが許認可事業に抵触していると判断された場合は融資が受けられないこともあるのです。
許認可が不要な事業であっても、類似業種に許認可が必要な場合は資格を所得しておくほうが安心かもしれません。ただ近年はサービス内容が多様化していることもあり、判断が難しいというのも事実です。
会社を設立できたとしても許認可が必要な事業で無許可営業や申告漏れなどの違反行為が合った場合は罰則の対象になります。無許可営業の罰則は業種によって異なり、2~5年以下の懲役、または200~1,000万円前後の罰金が科せられることがあります。
場合によっては、営業停止や営業許可の取り消しなどの行政処分の可能性もあります。会社設立時や事業を拡大する際には、許認可が必要な業種がどうかを確認しておきましょう。そしてスムーズに開業できるよう許認可が必要な場合は確実に取得をおこなうことが大切です。
会社設立に必要なのは、定款作成や許認可の取得だけではありません。会社が設立できるまでには、数多くの書類や手続きをしなくてはいけないのです。会社設立のおもな流れは以下の通りです。
会社設立までのおもな流れ |
1.設立項目の決定 |
↓ |
2.定款作成 |
↓ |
3.資本金の払込 |
↓ |
4.登記書類作成 |
↓ |
5.登記申請 |
↓ |
6.登記後の各種行政などへの手続き |
↓ |
7.開業 |
ここからは、具体的にどんな書類や手続きが必要か順を追ってみていきましょう。まず、会社設立には、基本となる設立項目の決定が必要です。
・商号(会社名)の決定
会社名はできるだけ覚えやすく、事業内容がわかりやすいほうがよいでしょう。さらにインパクトがある社名であれば営業にもよい影響が出るかもしれません。
ただし会社名は、候補をいくつか挙げておくことをおすすめします。なぜなら同一住所に同一の商号がある場合は登記不可となるだけでなく、類似した会社名がある場合には混同されてしまうおそれがあるためです。インターネット上で検索してみるか、法務局で類似商号がないかを確認するようにしましょう。
また基本的に商号で使える文字は、平仮名・漢字・ローマ字ですが、記号を用いることもできます。商号に使用できる希望については法務省のページを参照してください。
○商号にローマ字等を用いることについて(法務省ホームページ)
・所在地の決定
所在地として選べるのはオフィス街のビルという制限はないので、自宅を事業所とすることもできます。また、賃貸マンションを事業所として登記する場合には、契約上の理由で会社登記できないこともあるためオーナーに確認が必要です。
事業所の場所は、社会的信用を得るためにも重要な要素のひとつです。事業所の住所にマンション名が記載されていれば、小さな会社と印象づけてしまうこともあります。所在地によっては、顧客との取引や営業に影響が出る可能性があることも覚えておきましょう。
・役員報酬額の決定
役員報酬は経費にできないうえ、会社の法人税や社長の所得税に影響するので、慎重に検討することが大切です。ただし役員報酬は、定款か株主総会の決議で決めることが法律で定められているので、社長が自由に決めることはできません。また役員報酬の定期同額給与は、会社設立から3ヶ月以内に決めておかないと損金に算入できなくなるので注意しましょう。
・資本金額の決定
資本金は、会社設立時の設備投資や運転資金など事業を継続するために必要なお金です。一般的な額は100万~1,000万円が相場で、純利益がなくても2~3ヶ月の間事業を継続できるだけの額が目安になります。ただし資本金が1,000万円を超える場合は、設立初年度から消費税が課税されるので注意しなくてはいけません。
設立する会社の業種によっては、資本金額を高めに設定する必要はありませんが、事業を継続するための資本や資金調達できるお金が多いほど、力のある会社という印象を与えることにもなります。
とくに新規の会社設立時は、資本金が信頼を得るための大きな目安にもなるのです。資本金も社名や所在地と同じように、取引に影響する可能性があるということも覚えておきましょう。
・印鑑作成
登記手続きをおこなう申請書には、会社の代表印の押印が必要になります。また代表印も、登記申請の際に届出をしなくてはいけません。印鑑作成は依頼する店によって時間がかかることもあるので、商号が決定したら早めに準備しておきましょう。
定款は会社の規則や重要事項をまとめたもので、会社設立時には必ず作成が必要になるものです。基本的には会社設立をおこなう発起人によって作成することになり、定款作成後は発起人全員が署名や記名捺印をして公証役場で認証を受けなくてはいけません。公証人の認証を受けることで、はじめて定款が効力を発揮することになるのです。
記載する項目は、おもに「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分類することができます。とくに絶対的記載事項は、記載がないまま公証役場で認証手続きをしても、定款自体が成立しないため受理されないので注意しなくてはいけません。それぞれの記載事項として挙げられるおもな項目は、以下の通りです。
絶対的記載事項:定款の中に記載が必要になる項目
相対的記載事項:記載は必須ではないが、定款で定めておかなければ効力が認められない項目
任意的記載事項:定款に記載の義務がなく、記載がなくても規則として有効な項目
定款の作成後、株式会社の場合は、設立する会社の本店所在地を管轄する公証役場で認証を受けなくてはいけません。定款の認証には、発起人全員の印鑑証明と定款、そして4万円分の収入印紙が必要です。提出する定款の部数や手数料などは、あらかじめ確認しておきましょう。なお、合同会社の設立には公証役場での認証は不要となります。
また近年は、電子定款による会社設立も増えてきています。電子定款の場合は、通常なら公証役場で認証する際に必要な収入印紙代の4万円が不要です。会社設立時には何かと資金が必要になりますので、節約のためにも電子定款を検討してみてはいかがでしょうか。
定款の認証が完了すれば法人名義の口座開設が可能になるので、資本金の払込をおこないます。また使用する印鑑には、代表者個人のものではなく会社の代表印が必要になるので注意しましょう。資本金払込は、おもに以下のような手順でおこないます。
資本金払込の手順
登記申請するための書類作成が必要です。会社の種類によって作成する書類が異なるため、あらかじめどんな書類が必要になるか確認しておくようにしましょう。登記書類はA4サイズで統一し、印鑑証明書以外の書類はまとめて綴じておくのが基本になります。登記申請に必要おもな書類は、以下の通りです。
登記申請は、代表取締役が資本金の払込後2週間以内におこなわなくてはいけません。申請は会社の本店所在地を管轄する法務局でできますが、郵送でもおこなうことが可能です。
登記申請には株式会社なら15万円、合同会社の場合は6万円の登録免許税を収入印紙で納める必要があります。このため、法務局で書類に不備がないか確認してもらってから貼るのがおすすめです。登記申請書類の提出後に審査がおこなわれ、最短10日前後で受領されます。また登記申請書を提出した日が、会社の設立日となります。
登記申請が受領されたら、各行政機関への手続きも必要になります。
申請先 | 申請書類または申請内容 |
税務署 | 届出をおこなうのみで営業できる |
法人設立届 | |
青色申告の承認申請書 | |
給与支払事務所等の開設届出書 | |
源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書 | |
棚卸資産の評価方法の届出書(必要な場合のみ) | |
減価償却資産の償却方法の届出書(必要な場合のみ) | |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 |
公共職業安定所 | 雇用保険加入 |
労働基準監督署 | 労災保険加入手続き |
クレジットカード会社 | 法人クレジットカード作成 |
新規で会社設立する場合は作成すべき書類や手続きが多く時間がかかりやすいため、早めに準備しておくことをおすすめします。中でも定款は会社設立の手続きをするうえで必ず作成しなければいけない書類で、おこなう事業の根幹になるため事業目的などを明確に記載しなくてはいけません。
さらに登記申請などに不備があれば、スムーズに開業できないだけでなく希望の設立日に間に合わないということもあります。もし自分では許認可の申請や定款の作成が難しくてわからないということであれば、税理士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
そして定款は、個人事業主として経営している事業を法人化するときに変更が必要になることがあります。何より法人化するにはメリットやデメリットだけでなく、タイミングも重要なポイントになるのです。次に、事業の法人化についてくわしく見ていきましょう。
会社設立は新規事業として始めるときだけでなく、個人事業主から法人化に切り替えることもあります。ここでは、個人事業主から法人に切り替えた場合に、どんなメリットとデメリットがあるのかを解説します。
法人は個人事業主よりも社会的信用を得やすくなるというメリットがあります。たとえば個人事業主では金融機関からの融資を受けるのが難しいだけでなく、借入時に保証人を求められる場合が多くあります。企業の中には法人に取引を限定しているケースもあるほどです。
法人であれば社会的な信用があることで融資を受けやすくなります。さらに個人ではできない社債の発行により、資金調達をおこなうことも可能です。このため、事業拡大で設備投資などに費用がかかるときには、取引先からの信頼や金融機関から融資を受けやすい法人のほうが有利といえるかもしれません。
所得税は累進課税制度により、所得が多くなるほど税率が段階的に高くなっていきますが、法人税においては税率がほぼ一定になります。法人化すれば給与所得控除が受けられるほか、課税所得金額によっては個人事業主よりも支払い税率を抑えられるのです。法人税率と個人事業での所得税率は、以下を参考にしてください。
法人税の税率
課税対象の所得金額 | 法人税率 |
800万円以下 | 15% |
800万円超 | 23.20% |
所得税の税率
課税対象の所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 ~ 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 ~ 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 ~ 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 ~ 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 ~ 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
個人事業主は、所得金額が年900万円以下の場合、所得税率は23%になります。900万円を超えると控除はあるものの33%と税率が一気に上がる分負担が大きくなるのです。このため、法人化のタイミングは、課税所得が900万円を超えるあたりで一度検討してみることをおすすめします。
事業で欠損金が発生して赤字経営となった場合、個人事業主は青色申告すれば3年間赤字を繰り越せます。法人になると欠損金の繰越期限が9年間になり、経営が黒字になってから相殺することができます。
新しい事業を始めたばかりの時期は、利益が安定するまでに時間がかかることもあります。黒字化するまでに長い期間必要とする場合には、負担を抑えるためにも法人化したほうがよいかもしれません。
基本的に事業形態にかかわらず、年間の売上が1,000万円に満たない場合は、消費税の支払いが免除されます。そして法人の場合は、「2期前の売上が1,000万円以上の場合に、消費税の納税義務が発生する」と決められています。
このため、個人事業が法人化した場合は2期前の実績がないため、免税事業者となるわけです。消費税の支払い免除は、負担を大きく軽減できるメリットになるため、法人化するのはタイミングも大切といえるでしょう。
事業の法人化にはメリットだけでなく、デメリットもあります。場合によっては個人事業のほうが効率よく利益を得られる場合もあるため、個人事業と法人の特徴を比較して慎重に判断するようにしましょう。
個人事業の場合は行政機関に届出をするだけで開業できることもあります。しかし、さきほども解説したように、会社設立には株式会社や合同会社などの形態があり、それぞれにかかる費用も異なります。
電子定款の場合は4万円の収入印紙代が不要になるものの、株式会社の設立には約21~25万円かかります。合同会社の設立にかかる費用は収入印紙代と登録免許税のみになりますが、電子定款にしても約6万円かかるのです。
個人事業主の場合、得た収入はすべて個人のものにできますが、法人の場合は役員報酬額が固定されるので使えるお金が制限されます。たとえば交際費は、個人事業であれば必要経費にすることができます。しかし法人の場合は、たとえ業務関連の支払いでも損金に算入される金額は制限されてしまうのです。
法人化することで個人事業主の確定申告よりも複雑な法人税申告や決算書の作成が必要になります。このため、通常の営業に加えて事務的な負担も増えることになります。税務処理は税理士などの専門家に依頼することができますが、雇うためにはやはり費用がかかってしまいます。
個人事業の場合は、赤字なら住民税や所得税はかかりません。しかし、法人化すれば年間7万円の法人住民税を支払う必要があります。法人住民税は経営の状況にかかわらず、たとえ赤字であっても必ず支払わなければいけません。
このように、法人化する場合には節税などにつながるメリットもありますが、個人事業をおこなっていたときにはかからなかったさまざまな費用が発生します。また先にも解説したように会社設立するために必要な書類や手続きは数多くあるため、入念に準備することが大切です。
何より会社設立や事業の法人化は、資金や売上とのバランスを考えながら、タイミングを計るということも大切といえるでしょう。しかし、会社をはじめて設立する場合には、不安に思うことも多いはずです。その場合は、フランチャイズに加盟して起業してみるのも選択肢のひとつです。次に、フランチャイズ事業の特徴について解説します。
フランチャイズ事業は、加盟契約を結ぶことで本部がもつ経営ノウハウなどを取得して経営していく運営方法です。また本部からは開業時に経営面や資金面などの支援が得られるほか、継続的なサポートも受けられるため安定した運営がしやすいのも魅力のひとつといえます。
また加盟する本部によっては、許認可手続きや税務処理を代わりにおこなってくれることがあります。これによって加盟者は負担を軽減しながら本来の業務に集中できる大きなメリットを得ることもできるのです。
ただしフランチャイズに加盟した場合には、本部のブランドや商標の使用権利を得る対価として毎月ロイヤリティの支払いが必要になる場合もあります。フランチャイズ経営にもメリットやデメリットがありますが、安定した運営や経営の転換を図るための選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
フランチャイズの経営の特徴や注意点などに関するくわしい情報については、以下のページもぜひご覧ください。
○FCビジネスを始める前には、仕組みを知って正しく本部を選ぶべき!
もしフランチャイズに加盟する本部を検索する際は、「フランチャイズの窓口」をご活用ください。フランチャイズの窓口では、日本全国でフランチャイズ加盟店を募集している企業を比較検索することが可能です。
地域別や資金別で本部を検索できるだけでなく、事業説明会の予約をすることも可能です。さらに各企業への資料請求もまとめておこなうことができるので、時間や手間を軽減することができます。フランチャイズへの加盟も視野に入れてみるためにも、まずは無料の資料請求で情報を集めてみてはいかがでしょうか。
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