最終更新日:2023年11月10日
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介護事業を開業する際は、どのような種類の資金がどれだけ必要になるのでしょうか。事業を始める際は、開業に必要な初期費用のほか、開業後に事業が軌道に乗るまでのあいだにかかる費用まで考慮しておく必要があります。今回は、介護事業を開業するにあたって知っておきたい資金調達の方法や初期費用の内訳などについて紹介します。
介護事業を開業するために必要な資金は、それぞれの状況によってかなり幅が出るといわれています。たとえば、人件費については、正社員の割合をどの程度にするかによっても大きく変化するでしょう。なお、介護業界は人手不足が叫ばれており、必要な人材を集めるための広告費にも多くの資金が必要となります。また、介護事業には、さまざまな種類があります。これらの違いによっても資金や準備すべき内容が異なるため注意が必要です。
たとえば「訪問介護」は、ホームヘルパーが自宅に訪問して介護を行うサービスです。一般的に「介護」としてイメージされるのは、この訪問介護であることが多いでしょう。訪問介護は「ホームヘルプサービス」と呼ばれることもあります。具体的には、ホームヘルパーが食事や入浴といった身体的な介護を行ったり、掃除や洗濯などの生活援助を行ったりします。ホームヘルパーになるには、自治体や社会福祉協議会などが実施している「介護職員初任者研修課程」を修了しなければなりません。130時間の講義や演習を通して、介護の業務に従事するために必要となる知識や身体介護の方法について習得します。
訪問介護で注意すべきことは、サービスはあくまで本人の自立した生活を支援するためのものだということです。サービスとして提供できるのは日常的な家事のみで、手の込んだ家事や特別な用事を代行することはできません。社会保険制度の定めに従ったサービスを提供することが重要です。なお、訪問介護は介護保険によるサービスなので、利用者が負担するのは1割~2割のみとなっています。利用者の負担割合や利用できる回数は、介護認定のレベルや収入によって異なります。
さらに「居宅介護支援」は、ケアマネージャーによる介護支援のサービスです。ケアマネージャーは、2000年に導入された介護保険制度によって誕生した資格です。正式名称は「介護支援専門員」とされています。ケアマネージャーは、要介護者やその家族から相談を受けたり、利用者の希望に合わせた介護のケアプランを作成したりします。そのうえで、関係機関との調整を行うのが主な役割です。居宅介護支援は、居宅介護などのサービスと組み合わせることで、介護保険制度を利用する人が安心して自分にあった介護を受けられるようサポートする仕組みとなっています。
また「通所介護(デイサービス)」は、利用者が日帰りで施設に通い、日常生活の介護や機能訓練などを受けるサービスです。訪問介護や居宅介護支援と違い、利用者を介護するための施設を設ける必要があるため、開業時はより多くの費用が必要となります。
訪問介護事業を開業するためには、どの程度の初期費用が必要なのでしょうか。これは、大きく分けて2つの費用があります。1つ目は、開業後、収支の割合が同程度になるまでのあいだに支出しなければならない資金です。これには、開業するためにかかる準備費用が含まれます。まずは、法人設立のための費用が必要となります。介護事業を立ち上げる際は、介護事業者としての許可を受ける必要があり、その許可は個人が受けることはできません。そのため、株式会社や合同会社といった法人格を取得する必要があります。さらに、事務所を構え、そこに入居するための費用も必要です。事務所として使用する物件を借りるときは、一般的な住居用の物件を借りるよりも多くの初期費用が必要となる場合が多いので注意しましょう。また、事務所で使用するパソコンなどの設備やソフト等を導入する費用も考えなければなりません。
こういった設備は多くあったほうが便利ですが、実際に使用する人数や事業規模に合わせて、最低限の数を用意したほうがよいでしょう。開業時は、オープンを知らせるチラシなどにかかる宣伝費用も発生します。人脈を利用することで宣伝が十分に行えるような状況であれば、宣伝費用も少なく済ませることが可能です。そして、利用者の自宅を訪問するための車両や電動自転車等の準備も忘れてはいけません。もともと所有しているものを使用するのか、新しいものを購入するのかによって費用は大きく変わってきます。
なお、これらの準備費用とともに、事業が軌道に乗るまでに必要となる費用も考慮しなければなりません。この費用は、開業後にどれほど短期間で売り上げが伸びると想定できるかによって、大きく変化します。すでに介護事業に関する経験が豊富で、開業当初からたくさんの顧客獲得を見込めるようであれば、必要最低限の費用でおさえることが可能です。
2つ目は、事業が安定した時点で想定できる3カ月分の月次資金です。この分の資金を用意しておくことで、余裕をもった経営を行うことができます。これは、事業規模や地域によっても異なります。事業の運営に必要となる資金を計算して、なるべく正確に見積もるようにしましょう。
居宅介護支援事業を開業するためには、訪問介護事業と同じく、申請者が法人格を有していることが必須の条件となっています。法人格の種類は、株式会社や合同会社といった営利法人、NPO法人、一般社団法人といった非営利法人のどちらでも構いません。法人格を有していない場合は、まずは法人設立の手続きから始める必要があります。具体的には、運営理念などを記した定款の作成、公証人による認証などを行ったうえで設立の登記を行います。
法人格取得後、居宅介護支援事業の申請をするには、さまざまな書類を揃えて提出しなければなりません。まず、法人の定款と登記簿謄本です。これには、法人に関する情報とともに、居宅介護支援事業を行う旨が記されている必要があります。さらに、事業計画書や年間収支予算書なども用意します。ほかにも、従業員に関する情報についても準備が必要です。具体的には、従業員全員が有する資格や開業時のシフト表の提出が求められます。また、事業所管理者の氏名や連絡先等を記した経歴書の用意もしなければなりません。そのうえで、事業の運営に関わるさまざまな資料が必要です。運営に関する重要事項をまとめた運営規定、市町村や保健医療機関との連携内容、提供するサービスの種類とそれらに対する利用者の負担額の一覧表、苦情対応マニュアルなどをきちんと用意しましょう。
なお、居宅介護支援事業の申請をする際は、事業の拠点となる事務所の床面積などを記した、詳細な平面図を提出しなければなりません。どの部屋を利用者との面談に利用する相談室とするのか、従業員用の会議室はどこかといった区分けについてもしっかり記載する必要があります。更衣室といった細かいスペースについても省略せずに記載しましょう。さらに、備え付けることが義務付けられている備品についても、数や配置について詳細に記入します。
開業時に必要な資金を集める方法としては、自己資金を利用するか、融資を受けるかという2つの選択肢があります。もちろん、すでに手元にある自己資金のみで開業に必要な費用をまかなうことができれば、資金集めの段階で頭を悩ませる必要はなくなるでしょう。とはいえ、実際には自己資金だけで開業資金をまかなうのは困難です。事業を始めるときは自己資金を利用しながら不足分について融資を受けるのが一般的です。そのため、必要に応じで金融機関からの融資を検討しましょう。金融機関は事業に関する融資を行う際に、さまざまな角度から審査を行います。審査は厳格な基準に基づいて行われるため、場合によっては審査に通らないこともあります。審査に通らないということは、事業計画のどこかに不備や不足があるということの表れでもあるため、改善したうえでほかの金融機関を頼るという姿勢が大切です。
金融機関からの融資では、まとまった金額を借りられる可能性があり、多くの資金が必要となる開業時は、非常に頼りになる存在となるでしょう。しかし、その反面、どの程度の金額の融資が受けられるかについては、金融機関のさじ加減次第です。そのことを考慮すると、自己資金の蓄えがあればあるほど、より安心して事業を始めることができると言えます。また、融資は言い方を変えれば「借金」です。そのため、返済時は利子も上乗せした金額を支払う必要があるということを忘れてはいけません。多額の融資を受ける際は、きちんと返済のシミュレーションを行い、無理なく返済できるということをしっかり確認する必要があります。どうにかなるだろうという甘い目算で多すぎる融資を受けてしまうと、あとから返済できず、事業の継続ができなくなるといった影響が出ることもあります。できれば、数百万程度の融資があれば事業を十分行っていけるという水準まで自己資金を貯め、そのうえで開業の準備を始めるのが望ましいでしょう。
介護事業を始める際に利用できる融資制度には、さまざまな種類があります。たとえば、政府系金融機関である日本政策金融公庫には、創業者向けの特別貸付として「新創業融資制度」があります。これを利用すれば、無担保かつ無保証人でも融資を受けることが可能です。民間の金融機関であれば、無担保かつ無保証人で創業融資を受けることはできません。担保や保証人をつけることができるなら一般的な開業融資を受けたほうが金利も安いうえに、審査を通過できる可能性も高くなります。しかし、創業時は頼りにできるものが少ないことも多いため、こういったハードルが低い条件で融資を受けられるというのはとても便利です。ただし、新創業融資制度で融資を受けるためには、事業や申請者に関するさまざまな要件が定められているため、利用する際はよく確認するようにしましょう。
また、開業する地域によっては、市区町村が実施している融資の支援制度を利用できる場合もあります。この制度は、自治体が直接融資するのではなく、地域の金融機関が信用保証協会を通して実施する融資の保証料を援助するという仕組みです。これを利用して融資を受ける際は、まずは自治体の窓口に相談して面談を受ける必要があります。そのうえで、信用保証協会の審査が行われます。さらに、そのあとに金融機関の審査も受けなければなりません。そのため、実際に融資を受けられるまでには、長い期間が必要になります。必ず融資が受けられるというわけではありませんが、開業時は利用を検討すべき有利な条件のそろった融資です。期間的にも余裕がある場合は、ぜひ検討してみましょう。
介護事業を開業するためには、たくさんの費用が必要です。しっかり資金を確保して、余裕をもちながら事業を行っていくことが重要だと言えます。特に初めて事業を始めるとなれば、何にどれくらいの費用がかかるのかについて、イメージするのがむずかしい場合も多いでしょう。そういった場合は、必要な費用に対する目算が甘くなりがちです。そのことに気付かずに融資を受けて事業を始めてしまうと、あとから想定以上の費用が必要となり、経営が苦しくなってしまう恐れもあります。それを防ぐためには、さまざまな角度から慎重に検証することで、初期費用などの見積もりをなるべく正確に行うようにすることが重要です。不安な場合は、少し多めに見積もるくらいがちょうどよいと言えるでしょう。
開業時に利用できる融資制度には、さまざまなものがあります。今回紹介した融資制度は、初めての開業でも融資が受けやすい内容となっています。こういった制度を上手に活用することができれば、開業の準備もスムーズに進めることができるはずです。もちろん、自分自身が要件を満たしており、より有利な条件で受けられる民間の融資などがあるなら、そういった制度を利用するのもよいでしょう。いずれの融資を受ける場合でも重要なのは、融資を受けたのち、きちんと計画的に返済を進めることができるかどうかという点です。事業計画をしっかり立てるのはもちろんのこと、資金の返済計画についても先を見据えてきちんと考える必要があります。必要なプロセスをしっかり踏むことで資金調達を行い、介護事業をスムーズに開業しましょう。
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