最終更新日:2023年11月10日
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食品から日用雑貨に至るまで、幅広い商品を扱うスーパーは、地域に豊かさと便利さをもたらす身近で魅力的な店舗です。これから就職や転職、開業を考えている人にとってスーパーの店長は、気になる職業の一つではないでしょうか。ところが、スーパーの店長が実際にどのような仕事をしているのかについては、一般的にはあまり知られていません。
そこで、その仕事内容や年収について、以下で詳しく見ていくことにしましょう。
スーパーの店長の仕事は、商品と従業員を管理監督することです。その業務内容は多岐にわたり、激務であることが知られています。スーパーの規模によっても異なりますが、店内で働く従業員の割合は、正社員よりパートやアルバイトの人数のほうが多くなる傾向がみられます。パートやアルバイトの従業員は、責任の重い仕事を担当しない代わりに、責任感も薄くなりがちです。誰かが急に欠勤すると人手不足に陥ることがあり、その分を店長や他の従業員でカバーしなければなりません。そのため、店長本来の業務が後回しになって、残業せざるを得ない状況になることも少なくないのです。
そもそも、スーパーなどの小売店には、その規模に応じて衛生管理者や衛生推進者といった責任者を選任して、開業時間中に配置しておくことが義務づけられています。ところが、小規模なスーパーでは、責任者となれる副店長などを配置できないことも珍しくありません。その結果、店長が自ら開店から閉店まで責任者として拘束されるケースも少なくなく、労働時間が長くなりがちです。
ひとくちにスーパーの店長といっても、大規模な複合スーパーと中小の食品スーパーとでは、管理する売り場の面積や従業員の人数、取り扱うアイテム数などが大きく違うので、当然ながら年収にもかなりの差があるのが一般的です。
スーパーで店長になるには、通常、売り場販売員から各部門のサブチーフやチーフを経て、副店長や店長にキャリアアップしていく流れになります。一つ以上の部門チーフを経験したあとに店長になるケースも多く、店長にならずに商品開発や仕入れにかかわるバイヤーやマーチャンダイザーなどになる道もあります。
店長クラスの年収の相場は、モールなどの施設で1000万円程度、大規模スーパーでは700~800万円程度、小規模スーパーでは500万円程度です。店長になる年齢は通常40代前後なので、同年代の平均年収541万円(2017年時点)と比べると高めになっています。ただし、これは労働基準法に沿った働き方をしている同年代と比較した場合です。スーパーの店長は残業時間が長くなりがちですが、残業手当がつかないケースも珍しくなく、労働時間に見合った年収だとはいえないケースも多くみられます。
スーパー店長は、自分の店の仕入れについて自由裁量が認められているのが普通です。しかし、本部がある場合、新規の品物を入れるかどうかなどについては本部のバイヤーなどが決めることが多く、店長の一存では売るものを決められないケースが少なくありません。このような場合、本部の出す要求にいかに応えていくかが課題となります。つまり、店長といえども一国一城の主ではなく、組織の一部という位置づけになるのです。しかし、本部の社員になる道が開けているケースもあるため、店長がキャリアアップの最終地点ではないことに魅力を感じる人もいるでしょう。
それでは、スーパーの店長の仕事について、より具体的にみていきましょう。その業務は大きく5つに分けられます。それは、「販売促進」「従業員の管理」「各部門の商品チェック」「経営的な課題への対処」「地域ニーズの把握」です。
店長の多様な仕事のうち、最も重要な責務は、顧客を増やし売上アップにつなげることです。そのため、「販売促進」のための企画立案や、チラシ・広告の作成などは非常に重要な業務になってきます。また、魅力ある店舗にするために、店内の陳列状況や衛生状態を監督したり、売れ筋商品をチェックしてタイミングよく発注につなげたりといった仕事も欠かせません。
「従業員の管理」では、人件費を抑えながら効率アップを図ることが課題です。シフトを組んだり、人手が不足していればパートなどを採用したりすることがこれに含まれます。また、従業員とコミュニケーションを取って、不満や意見を聞き取るのも重要な仕事です。一般的にスーパーの従業員では、主婦をはじめとした女性従業員の割合が高くなりがちです。この背景には、女性特有の柔らかい接客がスーパー従業員に向いていることや、空き時間を有効利用したいという主婦の考えにスーパー勤務がマッチしていることなどがあるでしょう。しかし、女性が多い職場では女性同士の対立がトラブルに発展することも少なくないので、こうした事態に適切に対処することも店長の責務となります。従業員が高いモチベーションを持って生き生きと働けることが店舗に活力と魅力を与え、結果的に顧客満足度を上げることにつながります。
「各部門の商品チェック」においては、青果や鮮魚、畜産や総菜などの部門ごとの責任者とともに売上やロス率などを調べて分析し、会議にかけるといった流れになります。日々の売上データをチェックするのは店長の日課となる業務であり、どんな商品が売れているか、前年度の同時期と比較してどうか、ロスが生じた原因はなにかなどについて細かく分析することが求められます。
「経営的な課題への対処」とは、金銭にかかわる事務が正確に行われているかどうかを管理するものです。経理関係の帳簿や帳票の管理、予算や会計業務の実施などがこれに含まれます。
「地域ニーズの把握」も、店舗の売上アップを左右する重要な業務です。地域住民のニーズを把握してそれを満足させるとともに、顧客の不満や苦情に適切に対処することも忘れてはなりません。クレーム対処を誤ると、店の信用を揺るがしかねない大問題に発展することもあります。また、ライバル店や近隣の小売店の動向も把握する必要があります。従業員と密なコミュニケーションを取っておけば、ことさらに調査を実施しなくとも、必要な情報がキャッチできることも少なくありません。
非常に広範囲な業務を担うことになる店長ですが、すべてを一人で遂行しようと考えるのではなく、優先順位をつけながら働くことも大切です。店長の最優先課題は「売上アップ」=「顧客満足度アップ」です。その他の作業的な仕事は、信用できる部下に任せる覚悟も重要であり、それがひいては人材育成につながります。
たとえば、補充・陳列や店内清掃などは店長でなくともできることです。また、金銭管理や労務管理などについても、管理監督をしっかりしていれば、副店長などの部下の業務として割り振ることも可能です。
しかし、顧客満足度に直接かかわる販促の企画立案や品質管理、人材教育・訓練や分析調査などの業務は、顧客満足度に直結する問題なのでおろそかにできません。店長は激務であるだけに最終目的を見失わないようにしながら、効率的に業務にあたる必要があるでしょう。
平均的な店長の一日とはどのようなものでしょうか。一般的に店長の一日は、早朝に出勤して店舗を開錠することからスタートします。前日の売上や当日の勤務表をチェックして、品出し、店内清掃、ポップの付け替えなどの開店準備を行います。開店後は、店内の状況を監督しながら従業員に適宜支持を出し、補充・陳列などをサポートします。人手が足りない部門があれば、応援に入ることもあります。閉店前には発注や会計業務にあたり、売上や商品のチェック、従業員の管理などの仕事は、一日の空き時間に行うことになります。土日や年末年始に休めないことも珍しくなく、家族との時間が確保しにくいケースもみられます。
しかし、同じ店長という立場でも、中小のスーパーと大手スーパーとでは労働時間も年収も大きく違います。いずれスーパーの店長を目指すつもりなら、働くスーパーそのものを、きちんと選ぶことが大切です。
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