フランチャイズ(FC)とは何か
7,物件探索、立地評価
-立地選定・物件探しのポイント
(1)立地の検討
同じサービス、条件でも立地によって売上が変わります。より有利な立地を選び、また、その立地の特性を活かした戦術を立てましょう。
(2)商圏から立地を探す基準
a環境条件
土地の利用規制、産業、住民や事業所従業者の構成、所得、生活様式、競合など
が立地を構成する要素となり、売り上げを左右します。下記はあらかじめ必要となる基準です。
・都市計画上の用途指定(建ぺい率、容積率)
・商圏人口の設定(半径何キロ以内が1次商圏で、居住人口、昼間人口、年齢構成
男女比など)
・店舗道路の条件(道路の幅、接近容易性、視認性など)
・店前通行量(時間帯別通行量、その構成など)
b物件条件
出店予定地、土地の面積、土地の地形などを物件要件として設定します。
出店予定地はあらかじめ計画して決めておき、地図上に予定地点の印をつけておきます。予定地点と少々ずれていても、その付近であれば問題ありません。地形(じがた)と面積もあらかじめ決定しておきます。地形が合致していない物件に出店すると、店舗の標準ができずに、売上高や粗利益率に狂いが生じます。また、面積が狭い場合は出店を見送る、広い場合は分割利用等の方法を検討することが必要です。
(3)物件探しのポイント
a物件情報の収集
情報収集において重要なのは、いかに不動産情報に出る前の貴重な情報をつかむか、です。物件探しには、大別すれば、地主を調査し、直接交渉する方 法と、不動産業者や金融機関、建築業者等に仲介を依頼する2パターンがあります。ここでは後者の、『不動産業者に仲介を依頼する方法』について説明しま す。まず、前述した物件条件や、環境条件に合致する物件条件を収集します。事前に不動産業者に条件を提示しておくと無駄がありません。不動産業者の中で も、住宅物件ではなくて、店舗物件を中心に扱っているところを足繁く訪問し、信頼関係を構築し、一般公開前の貴重な情報を手に入れましょう。
b建築物の賃借条件
『保証金』・・・・無利息返済が一般的です
『礼金』・・・・・地主にお礼として渡す金銭です
『権利金』・・・・前のテナントが残していった設備や開発顧客、立地の相当分として払う金銭
『敷金』・・・・・建築物破損などに対する補償金で、退去時に修理代などを差し引いて返ってきます。
『賃借料』・・・・いわゆる月々の家賃です。基本は定額ですが、売上歩率方式の賃料設定もあります。
c物件タイプ別メリット、デメリット
『スケルトン物件』・・新築、何もない現状回復された状態の物件
メリット——–思い通りの店作りが可能
デメリット——–投資額が高い、物件が少ない
『居ぬき物件』・・・以前の借主が取り付けた空調設備、厨房などがそのまま残っている物件
メリット——–客を引き継げる、設備がついている、準備負担の減少
デメリット——–悪い評判も引き継ぐ、素人には設備の価値がわからない、自由な店舗つくりが不可
『テナント物件』・・複数の店舗貸出し用に建築されたビル
メリット——–知名度、集客力がある、災害の保険に加入している、イベントなどの企画を立ててくれることがある
デメリット——–保証金、敷金、賃料などが高い、工事業者が指定されている可能性がある、販促活動など家主の方針を無視できない、売り上げを預ける場合、日銭が入らない。
d物件選定のチェックポイント
立地のよさ・・業種、業態に合う場所か、商圏人口と年齢階層、交通量、今
後の地域の開発予定など
採算性・・売上見込み、客数の増加見込み、賃借条件、競合店の有無、競合店への勝利見込みなど
物件条件・・視認性が高いか、面積や地形に問題はないか、間口の広さは適当か、歩道に面しているか、駐車場の有無など
e契約時のチェックポイント
契約に関して貸主と所有者は同一か、または貸主にその権限はあるのか
しっかりと確認しないとトラブルの原因となるので注意をしましょう。
また、建物の使用目的に物販に限る、など、取扱商品・サービスまで
限定されていないかを確認しましょう。下記はそのほかのチェック項目で
す。
『不利な条項』・・・・・契約期間内の解約はできるか、部分解約できるか、貸主指定の工事業者はいないか、建築物修復費が借主負担になっていないか・・など。
『金銭的条件』・・・・・家賃の金額、発生時期、保証金や敷金、礼金、共益費、管理費等の有無や金額
『その他確認事項』・・・契約面積と、実際に使用できる面積、専有部分と共有部分の線引き(エレベーターや階段など)、ポスターや広告の制限、設備故障などの負担はだれかなど
-加盟希望者自らがおこなう立地評価の方法とポイント
(1)店舗の比較が基本
a最低5店舗の既存店の立地状況をみる
本部から紹介された店舗だけではなく自ら選んだ、なるべく開業してから時間
の経っている店舗を、最低5店舗比較、評価しましょう。表などにしてまとめ
るとわかりやすいかもしれません。
b評価はお客様の視点で客観的に実施
立地評価の最大のポイントは、お客様の視点になって、よく観察することです。曜日や時間帯による客数、客層、雨の日、晴れの日、周辺環境、段差の有無など、ありとあらゆることに留意して観察しましょう。
(2)立地評価の鉄則
立地評価は、『面』『線』『点』の順で、マクロからミクロへと評価を進めます。
『面』=『商圏』 です。商圏内に事業が成り立つための市場規模がある
かどうか。事業の性格にあったマーケット特性をもって
いるか、などを評価します。
『線』=『動線』 です。商圏内の候補地の配置に問題がないか、周辺に障
害物はないかなどを評価します。
『点』=『地点』 です。物件の大きさは適切か、視認性はいいか、入り口
は入りやすいか、などで評価します。
このように、最初から点でとらえずに、広い範囲から徐々に絞り込んでいきます。
どの要素も必要不可欠なので、視野を広く、なおかつ細かいところまで留意でき
ることが、優良な立地を獲得する条件となるでしょう。