フランチャイズ(FC)とは何か
8,事業計画書の作成
-事業書作成のポイント
そもそも事業計画書の一番大きな存在意義は、『金融機関からの融資の必要書類である』と
いうものかもしれません。事業の実現可能性から返済をできるか読み取り、その結果から融資の額 も決まります。
(1)事業戦略を明らかにする
a戦略レベル
なんのために企業活動を行い、社会でどういった形で活動するか、という経営戦略レベルと、 どういった形で、実際に利益を生み出し、競合に 打ち勝っていくか、という事業戦略レベルの2 つがあります。もちろん事業戦略が大事ですが、事業戦略の舵となる経営戦略も明らかにしな け ればいけません。
b事業戦略の目的と目標
ここでの事業戦略は、フランチャイズ事業そのものの戦略であります。フランチャイズ本部が経 験によって作り上げた戦術やマニュアルを、加盟 者がもう一度見直すいい機会となります。理 念やビジョンが本部と一致しているか、納得できるのか、検討しましょう。
(2)事業書作成のコツ
a環境分析
3C(顧客、自社、総合)や、SWOT分析は環境整理、戦術作成に役立ちます
b6W2H
Who、Whom、What、Where、How、How much、When、Why
の8個を明確にしましょう。
(誰が、誰に、何を、どこで、どのように、いくらで、いつ、なぜ)行うのかを明確にしましょう。
cコンセプトシート
キーコンセプト⇒立地⇒ターゲット⇒利用動機⇒スタッフ⇒サービス内容⇒価格⇒販促計画 ⇒提供環境
の9個を1つにまとめて、事業概要が1目でわかるようにしましょう。
-事業計画書の構成、内容
-事業計画書の構成、内容
事業計画書には様々な形式がありますが、その中で1つ、例として以下の形式を提示します。
(1)事業概要
a企業形態 個人経営か法人経営か、など
b開業予定日 余裕をもって設定しましょう
c企業名 店舗名、つまり看板はフランチャイズチェーンの名称となりますが、独立した企業体としての名称が必要です
d資本金 法人の場合資本金を記入します
e事業予定場所 立地場所を記入します
f予定従業員数 パート、アルバイト数などを慎重に考えましょう
g業種 小売業、飲食、サービス、などに加えて、コンビニ、ラーメン、学習塾など具体的に記入しましょう。
h提供サービス、商品 扱い比率の高い順番から商品やサービスを記入します。
i創業目的、動機 思い入れや気持ちを忠実に記入します
j当事業の経験 経験事業実績や本部の研修実績、予定日などを記入します
k事業における強み セールスポイントや、自社の強みなどを記入します
l仕入れ先、販売先 仕入れ先は本部の指定業者からなのか、独自のルートなの
か、顧客ターゲットはどこなのか、などを記入します
m全体事業像 事業の全体像を、図やチャートなどで示して、関係者の理解を得られやすいようにしましょう。
図
(2)資金計画
n設備資金等 事業を始めるにあたって設備を購入するための資金です。また、加盟金、保証金、敷金なども含まれます
o運転資金 設備資金以外のものは全て含まれます。例としては、商品仕入れ、材料仕入れ、ロイヤルティ、賃借料、広告費などが含まれます。
p資金調達 調達資金は出所によって名称や性格が変わりますが、それらをどこから調達するか計画し、明確にします
(3)収支計画
q売上高 売上高予想はとても難しいので、本部のデータや、経営コンサルタント等専門家の指導を基にすることをお勧めします
r売上原価 商品代、材料費、外注費などが該当します
s売上総利益 売上高から売上原価をひいたもの。粗利益ともいう
t販売管理費 営業や一般管理にかかる費用のことをいい、全費用から売上原価を除いたもの全てと考えます。具体的には役員報酬、人件費、地代家賃、水道光熱費、宣伝広告費ロイヤルティ、支払利息、減価償却費などがあります。
u営業利益 売上高から売上原価と販売管理費をひいたものです
v税引後利益 税金(通常は営業利益の40%)を営業利益から引いたものです。(※ なお、正確には営業利益のあとに営業外収支、特別損益があります。また支払利息については営業外費用とする計算方法もありますが、中小企業の場合は支払利 息を販売管理費に含め営業利益を求めることが現実的です。また創業時に営業外収支や特別損益を予測するのは困難であることから、ここでは別の方式を提示し ています。)
(4)返済計画
wキャッ シュフロー 実際に手元に残る資金で、借入金返済の財源となります。税引後利益と販売管理費にある減価償却費を足した額が返済可能額となりま す。減価償却費は、収支計画の中で計上していますが、実際には現金支出はしていないので、返済可能資金として考えても大丈夫です
x返済額 金融機関から借入した返済総額です
y差引過不足額 返済財源と、返済額の差額です
z別途資金調達計画内容 差引過不足額がマイナスの場合、当初の資金計画とは別に別途資金調達計画策を講じます。
図
-本部が作成する開業提案書の留意点
本部は加盟者に対して、虚偽の見積もりや、誇大な利益見積もりを提示することは当然禁止されていますが、加盟者側も、本部が提示するデータを自分の目で評 価できることが重要になります。また、加盟者の事業計画書よりも、経験やノウハウ、データのそろっている本部の開業提案書のほうが精度が高いであろうと考 えることができるため、加盟者は自分の事業計画の実現性や成功可能性を、開業提案書と照らし合わせて算定することができます。
a物件取得費用 開業提案書には、テナント物件取得のための保証金や仲介料が記載されていないことが多いです。自分で調べる必要があります
b内外装工事費用 世間相場と比べて妥当かどうかを判断しましょう。またスケルトン物件ではなく、居ぬき物件を利用して費用を抑えることを交渉するなど、工事内容に関して交渉できる可能性もあります。
c設備機器 設備が買い取りなのか、リースで設置して、リース料を毎月支払うのか、どちらが有効なのかを再考する必要があります。
d仕入れ先 仕入れ先は独自ルートを使うことは可能なのか、本 部指定業者だけなのか、また、最低仕入数量や返
品の可否などについても確認しましょう。
f人件費 人件費が固定費として扱われているのか、人件費に法定福利費が含まれているのか、オーナーの人件費はどこから捻出するのか、確認しましょう。
gロイヤルティ ロイヤルティには、スーパーバイザー訪問の費用が含まれているのか、POSなどの機器使用料は含まれているのか、などを確認しましょう
h減価償却費 収支計算に入っていないことが多いので注意しましょう。
i税金等 税金に関しても収支計算に入っていないことが多いので注意が必要になります。消費税や事業税に関する取扱いにも注意が必要しましょう。
j本部のサポート 売上不振店に対するサポート体制も確認しましょう