最終更新日:2023年11月10日
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飲食業は、営業時間短縮や休業の要請などコロナ禍の影響を大きく受けており、売上不足による経営難で廃業を余儀なくされる店が数多くあります。その一方で、ゴーストレストランといわれる経営スタイルが注目されています。
ゴーストレストランは低資金で開業でき、ひとつの店舗で複数ブランドを展開できるなどさまざまな魅力があります。ただし、店舗型の飲食店とは異なる特徴もあるため、ゴーストレストランで開業をする場合は仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
この記事では、ゴーストレストランの仕組みや特長を解説します。これから飲食店オーナーを目指す方やコロナ禍での開業に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
ゴーストレストランは、Web上で仮想店舗を展開し、調理した料理をデリバリーに特化して販売する形態をいいます。登録したプラットフォームからオンラインで注文を受け、デリバリーサービスに配達を委託するのが一般的です。店舗が不要で低資金で開業できるため、自己資金が少ない人でも挑戦しやすい業態です。
近年は、飲食チェーンの大手企業も参入し始めており、首都圏にはゴーストレストラン専用のビルができるなど今後も業界市場の規模は拡大が見込まれています。特に、新型コロナウイルスの感染拡大後の外出自粛やオンライン・テレワークの推進によりフードデリバリーの需要が増加傾向にあるのが要因のひとつです。
ゴーストレストランの経営は、費用面や経営面で一般的な飲食店と大きな違いがあります。大手企業も参入するほどゴーストレストランが急増している理由には、以下のようなメリットが挙げられます。
ゴーストレストランは、店舗を必要とする一般的な飲食店よりも、初期費用を大幅に抑えて開業できるのが大きなメリットです。店舗型の飲食店では、物件取得や内外装工事、備品などに多くの費用がかかります。規模によっては、1,000万円以上の自己資金を確保しておかなくてはいけません。
しかし、ゴーストレストランは、飲食店の間借りやレンタルキッチンなどを利用するため、店舗設立の費用が不要となります。安く抑えられれば、数十万円の自己資金で開業が可能です。
また、客席がないことから接客人員の人件費や採用広告費など経費の負担も軽減でき、飲食店オーナーにありがちな人員不足で悩むこともありません。さらに、小規模で開業ができるため、家賃の負担も少なく済ませることも可能です。低資金での開業は初期投資が回収しやすく運転資金に余裕ができるため、資金繰りが厳しくなるリスクも回避できます。
店舗を設ける場合は内外装工事に一定期間が必要で、規模によっては数ヵ月かかることもあります。前家賃が発生すれば収入がない状態で費用がかかるため、その分の運転資金も用意しておかなくてはいけません。ゴーストレストランの場合は、開業する物件が決まればオンライン上の掲載手続きを済ませるだけなので短期間で開業できます。
ゴーストレストランは、オーダーを受けたメニューを調理してデリバリーサービスに配達を委託するのが基本的な流れになります。デリバリーサービスを利用する場合は、金銭の授受をするレジ会計はなく受注管理はWeb上でおこないます。釣銭の準備やレジ作業が不要のため、営業中は調理に専念できるのです。
ゴーストレストランはオンライン上の店舗なので、ひとつの店舗でありながら複数ブランドの取り扱いができます。費用をかけずに多店舗展開ができることから、売上拡大が狙いやすいのも特長です。既存飲食店では、サイドビジネスとしてゴーストレストランを営業しているところもあります。
飲食業では、開業した事業の売上が思わしくない場合、業態の転換を検討することがあります。店舗型の飲食店で業態を変えると、改装工事が必要になる場合がありますが工事期間内は一時的に閉店しなくてはいけません。さらに、工事費用の負担や一定期間収入が得られないなどのデメリットがあります。
しかし、ゴーストレストランは、Web上で登録や更新をおこなえば、費用をかけて大がかりな工事をしなくても短期間で新業態への転換が可能です。また、流行しているものをメイン商材として取り入れる際に、素早く対応できるのもゴーストレストラン特有のメリットです。
ゴーストレストランには、上記のように多くのメリットがあります。しかし、開業を検討する場合は特有のデメリットがあることも知っておかなくてはいけません。
ゴーストレストランでは、店舗型の飲食店のようにキッチンでできた料理をすぐに提供できるわけではありません。料理を注文先に配達するまでには、どうしても時間がかかってしまうというデメリットがあります。いくらできたてがおいしい料理であっても、時間が経って味が劣化したものを提供してしまえば、また注文されることはないはずです。
できたて本来の味を楽しめるとはいかなくても、冷めてもおいしく食べられるようにメニューを工夫することは、ゴーストレストランの経営で重要なポイントになります。例えば、のびやすくなる麺類も油そばや焼うどんのようなメニューなら、温め直せばおいしく食べられます。また、麺とスープを別容器に分けるのもよいでしょう。
冷めてしまっても、温め直すことでおいしく食べられる料理なら問題はありません。しかし、提供できるメニューに工夫が必要になることや、取り扱えるメニューが限定されてしまう点はゴーストレストランのデメリットです。
店舗型の飲食店なら開店しているだけで宣伝効果があり、人通りが多い場所であれば認知度も上がりやすくなります。しかし、ゴーストレストランは、基本オンラインでの開業なので、店舗型のように飛び込みで来店されることがありません。プラットフォーム自体はCMなどで大規模な宣伝活動をしていても、自店の売上には直結しにくいものです。
デリバリーのプラットフォームは、飲食業界のECモールのようなものです。大手飲食チェーンなど数多くある競合店から、自店を選んでもらわなくてはいけません。
このため、ゴーストレストランで認知度を高めて集客率を上げるには、ホームページ作成やSNSの活用などの積極的な宣伝活動が必要です。独自性のあるメニューで差別化を図るなど、店舗型の飲食店よりも広告宣伝に力を入れなくてはいけない点は、ゴーストレストラン特有のデメリットといえます。
ゴーストレストランは、店舗型の飲食店に比べて家賃や人件費などを大幅に抑えた経営が可能です。しかし、配達を委託するデリバリーサービスを利用するには、一定の費用が発生します。
一般的には、配達手数料として売上から30%前後が差し引かれます。つまり、千円の商品が売れた場合は、プラットフォームの運営側に300円の支払いが発生するということです。また、登録するプラットフォームによっては、毎月出店料の支払いが発生するなど費用項目や金額が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
ゴーストレストランは、商品配達の代行に委託することからデリバリーサービスのプラットフォームに依存する形となります。このため、プラットフォーム自体が機能しなくなってしまうと、自店の売上にも影響が出る可能性があります。実際に海外では、大手のデリバリーサービスが撤退している国もあるのです。
また、売上の拡大を増やすために、複数のプラットフォームと契約して営業可能ですが、その分毎月の固定費が増え受注の管理も大変になります。自店で配達をする場合にも人件費がかかるため、プラットフォームの便利なシステムに依存してしまうケースが多いようです。
ゴーストレストランを始めるには、飲食店の開業に必要な資格や所定の手続きをしなくてはいけません。開業までのおもな流れは、以下の3つのステップです。
飲食店の開業には、食品衛生責任者の資格が必要になります。ゴーストレストランに限らず、食品の販売をする場合は必ず取得しなくてはいけません。食品衛生責任者の資格は、各自治体の保健所で実施される講習会に参加して取得できます。ただし、調理師や栄養士などの資格を保有していれば講習は免除となります。
自治体によって講習会の開催場所や頻度は異なり、受講料にも違いがあります。一般的には6時間ほどの講習で、受講料や教材費を合わせて1万円前後の費用がかかります。受付が先着順で定員も決まっていることがあるので、資格を取得したい場合は各自治体のホームページを確認して早めに申し込むようにしましょう。
飲食店を開業するには、食品衛生責任者資格の取得以外にも、保健所の衛生検査などを受けて営業許可をもらう必要があります。ゴーストレストランも同じように、営業許可が下りたキッチンでないと調理ができません。保健所の検査を受けて営業許可が下りれば、場所を選ばず開業が可能です。
ただし、配達スタッフに商品を取りに来てもらうことを考えると、駅周辺やオフィスなど需要が見込める場所で開業するのが好ましいといえます。ゴーストレストランの場合は、既存の飲食店やレンタルキッチンを借りる方法が一般的です。
飲食店には、営業時間外や休業日にキッチンを間借りさせてくれるところもあるので、マッチングサイトなどで探してみるとよいでしょう。既存の飲食店であれば、すでに営業許可を得ているため自分で手続きをする手間が省けます。さらに、調理器具や冷蔵庫などの設備も揃っているのもメリットです。
また、厨房設備が揃ったレンタルキッチンを利用するのもおすすめです。飲食店の間借りとは異なり、好きな時間に使える点が大きなメリットです。
なかでも、デリバリーに特化したクラウドキッチンは、首都圏で展開されていることもあり、ゴーストレストランに適した環境で開業できます。クラウドキッチンによっては、売上や注文数などの集計を代行して経営をサポートしてくれるケースもあります。間借りキッチンの検索やクラウドキッチンに関しては、以下サイトを参考にしてみてください。
フードデリバリーのプラットフォームはいくつかあり、登録している飲食の企業や商品数などもそれぞれ異なります。なかには、タブレット端末のレンタルやゴーストレストラン専用のキッチン施設をレンタルしているケースもあります。開業できる地域が限定されているプラットフォームもあるので、比較しながら条件に合うところを探してみましょう。
出店するには、まず登録したいプラットフォームサイトに申し込みをします。営業許可証をはじめ、店のロゴやメニュー表など掲載に必要な資料準備をして店舗ページの作成依頼をします。そして、タブレット端末からプラットフォームアプリをインストールし、店舗ページの確認や送信テストを経て掲載開始となります。
ゴーストレストランの開業には、いくつか注意点があります。事前に確認しておかないと、営業を始めてからトラブルになるおそれもあるので事前に覚えておきましょう。
・営業許可の確認
既存の飲食店は基本的に営業許可を得ていますが、レンタルキッチンを借りてゴーストレストランを開業する場合は注意が必要です。レンタルキッチンは、料理教室の開催など場所の提供がメインになっていることが多いので、飲食店としての営業許可を取得していないこともあります。
無許可で飲食店の営業をすると、営業停止や2年間営業許可が取得できなくなるペナルティを受けるおそれがあるので注意しなくてはいけません。場合によっては、利用したレンタルキッチン側とトラブルが起きる可能性もあります。レンタルキッチンを利用する場合は、施設の規約や飲食店営業許可を取得しているかなどを事前に確認しておきましょう。
・新しい電話番号の取得
ゴーストレストランを開業する場合は、スムーズに営業するためにも私用とは別の端末で新しい電話番号を用意するのがおすすめです。プラットフォームへの電話番号登録は、自分が使っている携帯番号でも可能です。
ただし、携帯番号の場合は、注文側の不安感をまねくおそれがあります。また、プラットフォームによっては、個人情報の取り扱いによるリスクの観点からタブレット端末の代わりにスマートフォンを利用できないケースもあります。
・Wi-Fi環境の確認
ゴーストレストランは注文受付や管理をタブレット端末でおこないます。ポケットWi-Fiやテザリングで通信もできますが、通信料がかかってしまうのでおすすめはできません。間借りやレンタルキッチンを利用するときは、Wi-Fi環境があるか確認しておくことも大切です。
・利用規約の確認
新規で間借りやレンタルキッチンを利用するときは、事前に借りるスペースの規約を確認しておきましょう。規約を確認しておかないと、トラブルを起こしたときに多額の賠償請求をされるケースがあります。もしルールがない場合は、貸主と相談して契約違反や器物破損があった場合の賠償責任について、あらかじめ決めておくことをおすすめします。
また、キッチンの使用料などについても期日までに支払いをしましょう。トラブルが起きてしまえば、キッチンを使用できなくなってしまうかもしれません。経営を長く続けるためにも、お互いが信頼関係を崩さないように気を付けましょう。
ゴーストレストランは、フランチャイズ化もされ始めています。フランチャイズに加盟すると、本部の持つブランド名や登録商標を利用しながら経営が可能です。特に認知度の高いブランド力のある本部に加盟すれば、開業初期から集客しやすいというメリットがあります。
また、加盟先によっては開業に適した物件の選定や宣伝広告活動を代行しておこなってくれるケースもあります。これまでの実績でさまざまな経営ノウハウもあり事前研修を実施している本部もあるので、飲食業が未経験の方にもおすすめです。
もしゴーストレストランの開業で集客や開業場所の選定に悩む場合は、フランチャイズに加盟して開業することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。ゴーストレストランのフランチャイズについては、以下のページも参考にしてみてください。
・バーチャルレストラン
ゴーストレストランに限らず、フランチャイズ経営は資金面のサポートを受けられるケースが多いため、初期費用を抑えて開業できるメリットがあります。また、開業後も継続的な経営サポートがあり、開業リスクが軽減できるのも特長です。
ただし、フランチャイズで開業するには、ロイヤリティの支払いなど経営の仕組みを理解しておく必要があります。フランチャイズ経営の基本的な仕組みについて、さらに詳しい情報を知りたい方は以下のページをご覧ください。
・フランチャイズとは?独立開業前に知っておくべきポイントを解説!
ゴーストレストランを開業するまでには、開業場所やプラットフォームなど、たくさんの選択肢があります。もし起業が初めてで自分で決めることに不安がある場合は、フランチャイズに加盟して開業を検討してみてはいかがでしょうか。いろいろ比較をしてみて、自分に合った開業方法を見つけてみましょう。
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