最終更新日:2023年11月10日
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お酒に興味があって人と話すのが好き、脱サラして自分のお店を持ちたい、そんな人にとってバーを開業することはとても魅力的です。自ら経営することにより、店の雰囲気やお客さんが次第に自分のカラーに馴染んでくる、それがやりがいにつながります。ここでは、バーの開業や経営にはどのくらいの費用が必要なのか、また経営を成功させるためのポイントについて解説します。
バーを開業すると決めたら、必要な初期費用についてどれくらいかかるのか、何にかかるのかを知っておきましょう。バー開業の初期費用は、平均で1,000万円〜1,500万円が必要だといわれています。金額に幅がある原因のひとつとして挙げられるのは、店舗を構える立地や物件の種類により大きく差が出る「物件取得費」です。物件取得費には、前家賃や補償金、不動産仲介手数料が含まれています。物件取得費の相場は、家賃の約12カ月分です。家賃が10万円であれば120万円、30万円なら360万円が物件取得費の目安になります。家賃は売上の10%に抑えることが健全な経営の目安とされています。店舗を決めるときは、この場所で家賃の10倍以上の売上が出せるのか、と考えてみましょう。
次に「備品・消耗品費」が挙げられます。こちらは、店内の雰囲気を決める大切な内装に関する費用です。椅子やテーブル、照明などのインテリアは、こだわればこだわるほど費用が大きくなるでしょう。
また、内装や外装の「設備工事費」にも大きな費用がかかります。水道工事や冷暖房機器の設置がこれに当たり、物件の状況により費用の大きさが異なります。バー開業の場合は、平均で坪あたり35万2,000円といわれているので、予算と店舗の大きさを考える際の目安にするといいでしょう。
最後に、とても大切な初期費用として「運転資金」があります。運転資金は、開業後にもずっと必要になる経営の元となるお金です。仕入れにかかる費用や家賃、そして人件費などを前もって3カ月〜6カ月ほど用意しておくと、その期間中にあまり利益が出なかったとしてもお店が続けられます。経営が波に乗るまでは試行錯誤が必要かもしれません。しかし、運転資金はそんなときの心の余裕につながります。
かなり大きな初期費用が必要となるバーの開業ですが、その費用をぐんと抑える方法がいくつかあります。
まずは、居抜き物件を利用する方法です。居抜き物件であれば、以前までそこに入居していたテナントの内装や冷暖房設備がそのまま利用できるため、備品費や設備工事費を抑えることが可能です。そのため、何もない状態から設備を整えるより、大きくコストを削減できるのです。
しかし、すでに店内のレイアウトが決まっているため、席の配置やインテリアに制限が出てくる可能性があります。また、前のテナントはどうして閉店したのか、なぜ場所を移動したのか、何かこの物件に経営上の問題があったのではないかなど、物件の特性を見極めて決めたほうがいいでしょう。すでにある設備に関しても、きちんと作動するか、修繕が必要な場合は納得できる金額かなど考慮しましょう。
さらに、お店の内装や看板などの外装を整える際、中古の備品を購入するという方法があります。冷蔵庫や音響設備など、新品だと値段が張るものでも中古だと格段に安い場合があります。食器やインテリアなど、デザインや機能性を重視する必要のあるものでも、魅力的な中古品に出会えることがあります。普段から、中古品を取り扱う雑貨屋などにアンテナを張り巡らしていると、良いものが見つかるかもしれません。
もっと初期費用を抑えたい、またはとりあえず営業を開始して経営が上手くいくようになってから自分好みのお店を考えていきたいという人には、リース賃貸という手段もあります。リース賃貸とは、内装や設備がすべて整備済みの店舗をそのまま借りて営業する方法です。リース賃貸では、これまで初期費用として含めていた備品費と設備工事費がまるごと抑えられます。しかし、毎月の家賃が普通の賃貸に比べて高いことが一般的です。
居抜き物件であっても新規の物件であっても、実際に内装工事や設備工事を行う際に費用を抑えようという意識が大切です。そのため、内装工事を依頼する設計事務所には、予算を提示しましょう。この予算でできる範囲と、自分が理想とする内装のデザインを考慮して設計案を出してもらいます。
そして、3社ほどに工事費の見積もりを出してもらうようにしましょう。それぞれの見積もりを比較すれば、工事費用の相場や実際に可能な内装の具体的なイメージができあがってきます。理想と予算の折り合いをつけながら素敵なバーを目指しましょう。
バーを開業するにあたって、資格の取得や行政機関への届出など、必要な手続きが多数あります。これらの手続きを怠った場合、行政指導や立入検査のみならず、刑に処されるなどの大きな問題に発展する可能性があるため、バーの経営者は開業前に必ず必要な手順を踏みましょう。
まず「食品営業許可」を保健所に申請します。食品営業許可の取得には、店舗の構造が基準を満たしているか、食品を取り扱う設備がきちんと整備されているか、給水及び汚物処理に関する設備が衛生上問題ないかなどが問われます。申請する前に、店舗を管轄する保健所へ行って、設備工事の図面を持参し相談することが推奨されています。届出のタイミングとしては、店舗施設が完成する10日ほど前に必要書類を保健所へ提出するのが良いでしょう。
また、バーで営業許可を受ける場合、店舗に1名以上の「食品衛生責任者」を置くことが義務付けられています。こちらは定められた講習を受講すると取得できます。
バーの経営には、ほかのカフェやレストランなどの飲食店と異なり「深夜における酒類提供飲食店営業届」を提出する必要があります。こちらは、深夜0時から日の出までの時間帯に酒類などの飲食を取り扱う店舗が提出を義務付けられています。店舗の所在地を管轄する警察署長を通して公安委員会に提出しましょう。
しかし、都道府県で定められている条例により、深夜の酒類提供を禁止している地域では営業許可を取得できません。店舗を構える地域を決める前に、条例の確認も必要ということです。
また「風俗営業許可」なしにバー店内で接待することは禁止されています。接待には、お客さんの席に継続的について話をしたりお酌をしたりする行為だけではなく、店員とお客さんがダーツやゲームを一緒にすることも含まれています。気付かないうちに風営法違反している場合もあるので気をつけましょう。個人事業主としてバーを開業する場合には「開業届」の提出も必要です。開業届は、開業後1カ月以内に提出すれば良いので、そのほかの手続きが終わってから忘れずに提出しましょう。
これらの許可を得ずにバーを経営した場合には、ペナルティが発生します。「食品営業許可」を取得せずにお店を営業すると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられます。さらに、これらの刑罰後2年を経過するまでは飲食店営業の許可がおりません。「深夜における酒類提供飲食店営業届」を提出せずに深夜0時を過ぎて種類を提供した場合には、50万円以下の罰金です。このようなことにならないよう、必ず該当の届出を提出してからバー経営を始めましょう。
バーを開業して経営することを決めたときには、もうすでに自分の中で、店内の空間やお客さんの雰囲気などある程度のイメージができているでしょう。そのなかでも、お店のコンセプトやブランディングイメージ、そして立地の雰囲気がマッチしていることが、バー経営の成功を握っていると言えます。
バーの立地として、一般的には人通りの多い大通りに面した角地の1階が好条件といわれています。しかし、このような物件は人気が高く、それゆえに家賃が高いという特徴があります。資金面から見て厳しい場合が多いかもしれません。
それに対して、駅から遠く、人通りの少ない路地裏や雑居ビルの中に位置するバーでも、隠れ家的存在として人気のあるお店も存在します。このようなバーは、ほかの店にはないオリジナリティや、お客さんの求める雰囲気とコンセプトが一致していることにより人気を保っているのでしょう。悪条件の立地であっても、集客が絶えない事例はたくさんあり、その多くが口コミやSNSでの情報拡散によるもののようです。
そのほかには、自宅と距離が近いという条件も見逃せません。なぜなら、バーの経営は仕込みから閉店後の掃除まで長時間の立ち仕事で体力が必要とされるからです。従業員に店舗運営を任せる経営者ではない限り、バー経営は体が資本となります。物件探しの条件に「自宅の近く」を加えてみてはいかがでしょうか。
バーへ来るお客さんは、商品そのものに加えてサービスや雰囲気、居心地の良さを求めています。バーを成功させるためには、お客さんのリクエストに応じたお酒を出せるバーテンダーとしての技量、そしてお客さんとコミュニケーションをとるための会話術や社交術などが必要となってきます。
アルバイトを雇う場合には、サービスを体系化することで、スタッフの質を一定の基準以上のものに保てるでしょう。また、スタッフ同士の関係性も大切です。お客さんも、スタッフ間の空気は敏感に感じ取ります。日頃の教育指導や、経営者がスタッフを大切にしているかなど、お店の雰囲気に如実に現れると自覚しておいたほうがいいでしょう。
バーは居酒屋などに比べて、一つひとつの商品の単価が高く設定されていることが一般的です。そのため、コストを下げて商品の値段を抑えることも集客方法として間違いではありません。
しかし、お客さんは高いお金を払ってでもバーでお酒を飲みたいという気持ちがあります。そのお客さんの気持ちを満足させるためには、同じ価格でもサービスと技量でコスパが高いお店だと認識させることが重要です。
一方で、清潔感がない、向上心がなく良い変化がないといったお店は、お客さんの足を遠のかせてしまうでしょう。サービスやコスパ以前にも、掃除や商品開発の工夫などの基本を忘れてはいけません。
「このバーに行けば、ほかのバーとは異なる目玉商品がある」それがバーを成功させるための最後のポイント「商材」です。さまざまなバーを渡り歩いてきたお客さんも、行きつけのバーを探しているお客さんも、みんなが探しているのはやはりお気に入りのバーでしょう。
このバーでは、お酒と美味しい「何か」が楽しめる、あるいは「オリジナルカクテル」に他店では味わえない魅力があるといった目玉商品を考えてみるのです。ここだけにしかないという希少性が、お客さんのお気に入りバーのひとつに仲間入りする秘訣になります。
目玉商品を考えるときには、お客さんのニーズに沿っているか、他店が簡単にまねできるものではないか、そして半径500m以内に同様の商品を出すお店がないかなどを調査しましょう。半径500m以内とは、お店を探し歩く人が行ける範囲の直径1kmをベースに考えられています。目玉商品のコストやクオリティを考慮したときに、譲れないポイントと妥協しなければならない点で試行錯誤することになるでしょう。
しかし、今後の経営を考えると、時間をかけてでも「商材」に力を入れる価値はあります。適正な品数や、注文が入ってからお客さんに提供できるまでの時間など、考えるべきことはたくさんあります。基本的なメニューからこだわりのメニューまで、どの程度の範囲で運営していくか、仕入れ先との兼ね合いなど、じっくりと検討してベストなお店作りを目指しましょう。
バーの開業にかかる費用は、居抜き物件を選んだり中古備品を購入したりして出費を抑えられれば約1,000万円で収まります。しかし、いわゆるスケルトン物件で備品は新品のみなどの場合では約1,500万円かかる可能性があります。思っていたよりも大きな金額だったでしょうか。あるいは、もっと費用がかかると思っていた人もいるかもしれません。もし、1,500万円以上かかるようであれば、工事費や内装費、設備費を見直してみるのも良いでしょう。
また、お酒やカクテル、ワインなどのアルコールをメインに取り扱うバーは、ほかの飲食店に比べて利益率が高いといわれています。それは、食材仕入れが少ない分だけロスが少ないことや、アルコールの原価が低いことが理由です。居心地のいいバーであれば客単価は上がりやすく、結果的に大きな利益を生み出します。初期費用を捻出して経営が上手く行き始めたら、あとは自分のペースで経営できます。そんな、魅力的なバー経営を目指して開業への道を歩みましょう。
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