最終更新日:2023年11月10日
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コンビニエンスストアは全国的に店舗数が圧倒的に多く、経営の未経験者でも店長になりやすい特徴があります。また、本人の努力次第で収入が上がりやすいので、モチベーションを高く保ちながら仕事に取り組めるでしょう。独立開業を考えている人にはおすすめです。この記事では、コンビニ店長の収入や仕事内容などを網羅的に紹介していきます。
コンビニ店長に求められている役割は「店舗の売上を伸ばす」ことに尽きます。店長にはさまざまな業務が課せられていますが、そのすべては「売上」につながっていなければいけません。もちろん、人手が足りていない店舗だと店長自らレジを打ったり掃除をしたりする場面も出てくるでしょう。しかし、基本的に「バイトでもこなせる」業務に関しては、店長が動かないようにすると店は上手くまわり始めます。そして、店長は「自分にしかできない業務」を中心に働くのが大切です。
具体的には「販売計画」の作成です。大手のコンビニグループになると、親会社から販売計画が申し渡されることも少なくありません。しかし、だからといって店長が受身になっていいわけではなく、積極的にマーケティングを行い、店舗の将来を考える姿勢が必要とされます。それに、売れ筋の商品やお客の傾向は店舗ごとに違うため、グループ全体の販売計画があてはまらないケースも出てきます。自店でどんな商品に需要があり、どんな層が頻繁に通ってくれているのかを知ることは、店長に課せられた義務といえるでしょう。
そのうえで、店長は店舗の「管理」を行います。レジの計算が合っているかを管理し、事後処理も確実にこなしていくのが店長の役割です。レジ管理自体はある程度、バイトに任せている店長もいますが、それはきちんと「有能なバイト」を育てる努力を経てきたからこそです。会計や事務関係がクリアされていないと、スムーズにスタッフが働けません。業務効率をどのように上げていくかは、店長が考えるべき問題です。
そのほか、発注や清算、フェイスアップなどコンビニ店長がこなす業務は多岐にわたります。フェイスアップを「陳列」と混同している人は少なくありませんが、実際は「お客の購買欲にどんな対応を示し、あおっていくか」を決定づける重要な作業です。根拠のないフェイスアップを行っても、売上には反映されません。店長がしっかりと日々のデータを分析し、計算されたフェイスアップを実行するからこそ、お客の反応を呼び込みます。常に店舗を第一優先にして、成長を続けていくのが理想的な店長の条件でしょう。良い店長がいる店舗ではバイトも活き活きと働けますし、お客も足を運びやすくなります。
コンビニ店長が「やりがいを感じられる仕事」なのは「リーダーとしての責任」を味わえるからです。コンビニは他店との競争が激しい世界です。狭い地域に複数の店舗が並んでいる状況も多いので、わずかな工夫が売上を左右します。店長が自分の主導によって、他店を超える売上を達成できたときには深い充実感を得られるでしょう。そして、結果を出せば上層部やスタッフからの信頼もついてきます。実力がダイレクトにキャリアアップへとつながっていくのは、コンビニ店長の大きなやりがいです。
具体的にどんな工夫が「やりがい」につながっていくのかというと、まずはスタッフの育成方針です。新人バイトの教育は、店長が率先して行う仕事といえます。なかには、仕事に慣れていなくてなかなか段取りを覚えてくれないバイトもいるでしょう。しかし、すぐに教育をあきらめてクビにしていては、また面接を行う手間が増えます。また、店舗に悪い噂が立ち、新人が集まってくれなくなります。能力が低いバイトが成長してくれるのは、コストがかからない「マンパワーの補強」であり、店長の手腕が試されるチャンスです。
「発注」もまた、店長の能力が発揮されるべき業務です。発注とは、ただ「売れた商品を補充する」単純作業ではありません。商品が売れるには必ず理由があり、店長はお客の需要を深く突き詰めて発注を行わなければいけません。たとえば、気温が高くなってからアイスや冷やし中華を補充しても遅すぎます。お客が「この商品を買いたい」と思ったときに、すぐ買いに行けるのがコンビニの便利さです。消費者の動きにはアンテナを張り続け、需要を予測した商品が大売れしたときには店長の醍醐味をかみしめられるでしょう。
コンビニ店長が働きがいのある仕事なのは、「自分の働きがお店の経営を左右する」点にあります。特に、大手グループのコンビニは、「価格帯」「立地」などが考慮されたうえで店舗が設立されるため、店長になった時点でお膳立ては整っています。状況を生かすも殺すも店長次第であり、店長が怠けてしまうとあっという間に他店が追い越していくでしょう。しかし、店長が自ら頑張る店舗では結果にもつながりますし、努力が報われる仕事だといえます。自分に厳しく、計画的に働ける人なら夢中で取り組めるでしょう。忙しい仕事ではありますが、お客の「ありがとう」に救われる瞬間も多く、人々の生活に貢献していると感じられます。
コンビニ店長の収入は、年代によって変動していく傾向にあります。20代なら月収20~25万、30代なら25~45万、40代なら40~50万が目安となるでしょう。収入の幅が大きいのは、店舗ごとの売上にも左右されるからです。売上が多い店舗だと、そのぶん店長への還元率も高くなります。「臨時賞与」などで収入が上がる店長もたくさんいます。一方で、立地条件が悪かったり、ライバル店との競争が激しかったりする店長は、収入がやや少なくなりがちです。また、月の残業時間が長い店長も、残業代によって収入は増えます。
個人経営のコンビニ店長となると、さらに収入は不安定になります。大きな収入を得た次の月は、収入が急落するような事態も起こりえるでしょう。また、個人経営では「プール」も考えなくてはいけません。売上が高い月があったからといって、そのたび自分の取り分を多くしていたのでは、蓄えが残らなくなっていきます。長期的な視点に立つなら、売上が良かった月こそプール分を多くする意識が大切でしょう。
コンビニグループに就職し、店長として配属される「サラリーマン店長」は安定した給料が保証されています。また、エリアマネージャーなどへのステップアップも視野に入れられるのがメリットです。ただし、サラリーマン店長になるのはそもそも就職活動で採用されなければいけません。それに、サラリーマン店長は希望の地域に配属先されるとは限らない不安も出てきます。
あくまでも自分が望んだエリアで、コンビニ店長が収入を安定させたいなら「フランチャイズ経営」で開業してみるのもおすすめです。フランチャイズとは、大手グループの傘下に入って店舗を経営していく方法です。フランチャイズの店長は親会社から一定の給料が出るので、売上の上下に関わらず収入を確保できます。また、大手の名前を出して営業活動ができるので、他店との競争力を維持できます。開業した時点で知名度を確保しているので、スタートダッシュで売上を伸ばすことも可能でしょう。自己資金が少なくなり、融資の心配をしなくても経営できるのもフランチャイズゆえの利点です。経営が苦しくなると、親会社に相談できるのも頼もしいポイントです。
個人経営でコンビニを開業する人はごく少数派で、多くの店長は「本社直営店で雇われる」か「フランチャイズ契約をする」パターンで仕事を始めています。まず、「本社直営店」とは、親会社が経営についての権限を握っている店舗です。経営方針から接客、バイトの教育にいたるまで、原則として親会社のマニュアルに従わなくてはいけません。そのため、店長が誰になろうと仕事は同じです。店長は自分の意思で考えて働くというよりも、親会社の指示を忠実に守ることが優先されます。マーケティングや宣伝活動を親会社がやってくれる楽さはありますが、やりがいは感じられない店長もいます。
一方、「フランチャイズ契約」の店長は、より自由に経営を任されるのが特徴です。もちろん、親会社の名前を使わせてもらう以上、あまりにも勝手な経営はできません。奇抜なアイデアを実行するときは、しっかり親会社に話を通す義務があります。それでも、店長側から親会社に意見することは許されていますし、「効果がある」と判断されれば積極採用されます。フランチャイズの店長は店舗を「自分の場所」を感じながら仕事をできるので、モチベーションも上がるでしょう。地域密着型で、エリアごとの特徴を反映させやすいのもフランチャイズ契約のメリットです。
そのほか、コンビニ店長になるには「親会社に就職してから店長に任命される」などの方法があります。「アルバイトから経営側を目指す」という方法もありますし、実際に成功した人もいますが、かなりの努力が必要とはいえるでしょう。どんなに優秀なバイトだったとしても、人事権のある人物に認められなければ正社員登用はないからです。店長からエリアマネージャーに紹介してもらい、親会社の承認を得るまでが至難の業です。「バイトを頑張れば絶対に店長までのぼりつめられる」とは言い切れません。
より確実に店長への道を歩むなら、「直営店」か「フランチャイズ」で募集を探すのがおすすめです。コンビニ業界は絶え間なく新店舗がオープンしているため、店長の求人も途切れません。そして、「こんな店を持ちたい」「自分のビジョンに沿って経営をしたい」という意思があるなら、フランチャイズ契約での開業を目指しましょう。
コンビニ店長になるために必要な資格は特にありません。とはいえ、店長にはマーケティングから会計、人材管理にいたるまで多角的な能力が求められます。コンビニ経営をそつなくこなしていくためには、資格の勉強をしておくのもいいでしょう。簿記はもちろん、販売士検定なども取得しておくのがおすすめです。販売士検定1級の勉強では「経営計画の立案」「財務予測」などを深く学んでいきます。経営者に必要な最低限の知識は1級を勉強するだけでも十分に身につきます。
2級になると、マーケティングやマーチャンダイジングについてさらに掘り下げた知識を勉強しなくてはいけません。コンビニをマネジメントしていくために、幅広い視野を持ちたいなら2級にも挑戦してみましょう。そして、3級の勉強では接客やフェイスアップについても学びます。3級の内容はより実践的であり、売り場で役立つものばかりです。経営側になると、スタッフに努力の方向性を示し、効率的な作業のやり方を教えなくてはいけません。そのためには、根拠のある言葉が重要です。販売士としての能力に基づいた指導は、スタッフからも歓迎されるでしょう。
しかし、経営者になるためには座学だけを吸収するのではなく、現場の経験もものを言います。そこで、コンビニ店長を目指す人はとりあえず現場に入って感覚をつかんでおきましょう。正社員としてコンビニグループに就職した人も、最初は現場で研修を積むことは珍しくありません。スタッフの苦労やお客の視点を理解できれば経営術にも活かされます。また、現場で初めて問題点に直面したり、逆に店舗の強みを理解したりできる場合もあるでしょう。
現場を知るには、バイトとして雇われて社員へとキャリアアップするのもひとつの方法です。しかし、時間がかかるうえ「必ず正社員になれる」という保障もないので、親会社の平社員から店長を目指すのも現実的でしょう。そのほか、フランチャイズ経営なら「いきなり店長になる」という状況も夢ではありません。それでも、店長になる人材には親会社からの審査、面接が行われるので、アピールポイントは用意しておきたいところです。資格や経験は、フランチャイズの店長になるために役立つでしょう。
コンビニ店長は基本的に「社員」です。また、フランチャイズ経営で働く場合でも、親会社の傘下に入っている状態です。そのため、労働基準法に基づく就業規則が適用され、「週休2日」の生活リズムを維持できます。確かに、かつてコンビニ経営といえば「休みがない」「残業が多い」などの問題点が指摘される「ブラックな職業」のひとつでした。しかし、時代とともに社会全体が働き方を見直すようになって、コンビニ店長の労働環境もかなり整備されてきています。家族サービスを行ったり、趣味に没頭したりする時間は確保できるでしょう。
とはいえ、コンビニは365日24時間無休なので、店長が不在の時間が多いと経営がまわらなくなりがちです。店長でも週休2日ペースで休めるものの、連休を取得するのは困難だと覚悟しておきましょう。どうしても連休が必要な場合は早い段階から親会社に相談するなど、根回しが大切です。また、一部の店舗では「レジ管理」「発注」などの業務を店長に依存してしまっているため、店長が休日でも顔を出さなくてはいけなくなっています。業務の担当者は分散させて、誰かが欠けても大丈夫な環境を作っておきましょう。
しかし、休みたくても休めない店長がいるのは事実です。「自分がいないと店は回らない」「バイトを信用できない」などの理由から、ほぼ無休状態で出勤している店長は後を絶ちません。なかには、積極的にサービス残業をこなしている店長もいます。こんな事態にならないためには、「バイトのリーダー格」を育成する意識を持ちましょう。コンビニスタッフの大半はバイトです。バイトの質が低いと、店長の負担が大きくなります。新人の教育は面倒に思えるものですが、バイトが成長してくれたら店長が楽になるというシステムを理解しておきましょう。
そして、シフト管理を徹底し、「穴」のない出勤スケジュールを作成します。バイトが出勤しない日は店長が自ら穴埋めをするしかありません。つまり、バイトの出勤日に偏りがあると店長は休めなくなってしまいます。バイトを募集する段階からはっきり「この曜日とこの曜日に入ってほしい」と要望を示し、シフトのバランスを取りましょう。後は、「思い切り」を持って休むことです。店舗を心配し続けているといつまで経っても店長は休めません。信頼できるバイトを育てたなら、勇気を出して仕事を任せてみましょう。
コンビニ店長の仕事にはリスクもあるので、目指している人は事前に対策を練っておきましょう。たとえば、フランチャイズ経営によりコンビニを経営すると、店長の就業時間が長くなる可能性が出てきます。本社直営店では店長の労働体系に厳しい傾向があり、上層部の管理によって店長のシフトも決められています。あまりにも店長の残業が長いと、「業務効率が悪い」として、問題視されるケースもありえるでしょう。しかし、フランチャイズ店であれば、店長のシフトも自身で決めています。そのため、つい休日や休憩の概念が薄まり、無理をする店長も増えがちです。
特に、「深夜帯の出勤」をこなす店長は就業時間がふくらみます。深夜バイトを雇うと、時給が昼間よりも高くなるため人件費はかさみます。そこで、店長自ら深夜シフトに入り、人件費を削減しようとするのです。ただし、昼間も仕事した後で深夜に入るのは大変な重労働です。過労や生活リズムの乱れの原因にもなるので、おすすめはできません。仮に店長が深夜シフトに入るなら、昼間はしっかりと休むなど休息も一緒に確保しましょう。
それ以外にも、「365日24時間」営業にこだわるからには、店長が長時間勤務せざるをえないケースも目立ちます。特に、有能なバイトが所属していない店舗だと店長のシフトも長くなっていきます。どうしても店長の負担が軽くならないなら、親会社に相談して応援を寄越してもらうなど対処を求めましょう。フランチャイズ経営だと親会社に「相談員」と呼ばれるスタッフがおり、現場の問題を聞いてくれます、一人で抱え込まず、他人の意見を頼るようにしてみましょう。
収入もまた、コンビニ経営によくあるリスクです。事業が成功した場合だと、収入もサラリーマン時代の3倍以上は欲しいところです。コンビニ経営は責任も重く、それだけの収入を得るだけの価値はあります。しかし、一般的なコンビニ店舗の経営者ではそこまでの収入は見込めません。複数の店舗を掛け持ちすれば収入も上がりますが、店長の労働時間はさらに増えていきます。ただし、店舗売上が年商3億円を超えるようなケースでは、年収2,000万円以上で働くことも可能です。
コンビニ店長が経営のリスクを回避するには「信用できる右腕の採用、育成」を心がけましょう。店長は現場で中心になれるわけではなく、むしろ経理や事務作業に手を取られる時間が増えていきます。その場合、現場で指揮をとってくれるスタッフが必須です。バイトスタッフを募集する際、早い段階で経験豊富な人材を引き入れておきましょう。また、資質のありそうなバイトスタッフには手をかけて育てるなどして、「リーダー格」のポジションを与えます。バイトスタッフが自主的に店舗を回してくれるようになれば、店長の負担は軽くなるでしょう。
「経費管理を徹底」「店舗オペレーションを維持」なども重要なポイントです。商品は売れているのに利益が上がらないのは経費に問題があるからだといえます。また、スタッフを適材適所に配置できていれば、現場でミスが起こりにくくなります。店長がフォローに奔走する場面も少なくなるので、管理業務に集中できるでしょう。「従業員の適正な評価」も意識するべき項目です。もしも「性格」や「自分への忠誠」で従業員をえこひいきしてしまうと、スタッフ間で亀裂が走ります。また、えこひいきされているスタッフも店長に好感を持ってくれるとは限りません。むしろ、居心地が悪くなってすぐに辞めてしまう恐れもあるのです。従業員とは公平に接し、人間性ではなく能力で評価するように努めましょう。
コンビニ店長が抱える大きなリスクのひとつが「収入面の不安定さ」です。歩合制の雇われ経営者になってしまうと、売上によっては極端に収入が低い月も出てきます。どんな店舗にも売上の浮き沈みはあるものですが、それが収入に反映されすぎると生活ができなくなっていきます。こうした「不安定さ」を防ぐには、フランチャイズ経営で最低保証を約束してもらうことです。多くのコンビニグループは、フランチャイズ契約を結んだ店長に対して「毎月これだけの収入は払う」という最低保証を提示しています。最低保証がある限り、一時的に売上が落ち込んでもある程度の収入は確保できます。また、契約期間は強制的に店長を解任できないため、余裕を持って仕事ができるでしょう。
コンビニ経営は、近隣住民にとって必要とされる仕事です。もはやコンビニは地域の日常に欠かせない場所となりました。買い物はもちろん、公共料金の支払いや郵便などでもコンビニを利用する人は増えています。一方で、コンビニの経営者側に求められる能力が増えたことも意味しています。コンビニ店長を目指す人は消費者のニーズを押さえ、販売計画に反映する意識を持ちましょう。そして、人々から「ありがとう」を自然に言ってもらえるような店舗にするのが理想です。
また、コンビニ店長は「店舗内の管理能力」も求められます。フェイスアップを完璧にこなして消費者の購買意欲をあおりつつ、バイトスタッフも的確に教育しなければいけません。コンビニは人手不足になりやすい店舗ですが、優秀なバイトが育てばシフトは埋めやすくなりますし、人件費も削減できます。これだけの仕事をこなさなくてはいけないコンビニ店長は大変ですが、やりがいを感じられます。フランチャイズ契約で開業すると、親会社にわからない点を相談しながら経営できるので不安も少なくなるでしょう。
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