最終更新日:2023年11月10日
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お店を経営する上で原価率の計算は必須です。原価率を計算せずに開業すると、繁盛していても経営を続けるのが難しくなるかもしれません。
本記事では、原価率の計算方法と考え方について解説します。原価率の計算は開業する前に必ずやっておくべき事項ですので、小売店や飲食店を開こうと考えておられる方はぜひ最後までお読みください。
原価というのは、商品を仕入れたり製造したりするのにかかった費用のことです。原価率は販売価格の中で原価が占める割合を指します。
小売店や飲食店を経営するなら原価率の計算は必須です。計算方法は後ほど解説しますが、原価率を考えずに販売するとお店が繁盛していても経営難に陥るかもしれません。
たとえば、原価が250円かかるプリンを300円で販売したとします。得られる利益は1個50円なので、1日に1,000個売っても5,000円にしかなりません。
プリン以外にも売上はあったとしても、地代家賃、光熱費、人件費など諸々の費用を考えたら、1個50円の利益では厳しいですよね。販売価格を倍の600円にすれば1個あたりの利益は増えますが、値上げすると販売個数が減って利益は変わらないかもしれません。
原価が100円で販売価格が300円であったなら、1個200円の利益が得られます。1個50円と1個200円の利益では全然違いますよね。
このように、原価率を計算することはお店の利益に大きく関わるため、しっかり計算した上で販売価格を設定する必要があります。
原価率の計算は簡単です。以下の式に当てはめて計算してみてください。
(原価)÷(販売価格)× 100 = 原価率
たとえば、先ほどのプリンの例で計算してみると、原価率は以下のようになります。
【原価250円 / 販売価格300円のプリン】
原価250円 ÷ 販売価格300円 = 原価率約83.3%
【原価100円 / 販売価格300円のプリン】
原価100円 ÷ 販売価格300円 = 原価率約33.3%
販売価格は同じでも原価が異なるため、後者の方が原価率は低くなっています。原価率は低い方が利益が上がるため、商売では原価をできるだけ抑えるのが一般的です。
上記はあくまでも一例ですが、原価率約33.3%というのはあまりいい数値ではありません。原価率を下げるには原価を抑えるか、素材にこだわるなら販売価格を上げることを考えた方がよいでしょう。
プリンを例に挙げたのは、実際に原価率で失敗したお店の話があるからです。そのお店は素材にこだわった美味しいプリンを作っていて、行列のできるほど繁盛していたのですが、しばらくすると経営が困難になってつぶれてしまいました。
お店がつぶれた原因は原価率を考えずに販売していたことで、せっかく繁盛していたのに経営を続けられるだけの利益を得られなかったのです。原価と販売価格のバランスは難しいのですが、原価率を考えておかないと売上が良くても経営が厳しくなります。
販売価格を下げれば原価率が上がって利益が下がる、かといって販売価格を上げれば売れなくなるリスクがあるのが難しいところです。結局はその販売価格にお客さんが納得するかどうかで、極端に言えば原価率が10円のプリンでも、お客さんが1,000円を払う価値があると感じれば販売価格が高くても売れるでしょう。
どうやって原価率を下げて利益を上げるかは企業努力とも言うべきところで、仕入れ代や人件費を上手に節約し、安くて良い商品を提供した上で十分な売上を得ているお店もあります。お客さんが商品の価値と価格に納得し、その上でお店を続けていけるだけの利益を得られる。これが理想的な小売店の形です。
最初の販売価格が高くて後に値下げした場合は問題ありませんが、逆に最初は販売価格が安かったのに急に値上げすると売上に影響します。材料費の高騰や景気によって左右されるので値上げせざるを得ないこともありますが、原価率の計算をせずに販売した結果、お店の経営が困難になって値上げするというのは良くありません。
そうした事態に陥らないために、オープン前に適切な原価率を計算しておく必要があります。業態によって原価率の平均値は異なりますが、一般的な平均値は30%だそうです。30%でも経営が厳しいこともあるので、原価率はできるだけ抑えたほうがよいでしょう。
また、業態を選ぶ際に原価率を参考にするのもひとつの方法です。原価率が良い業態であれば利益を得やすいので、経営がしやすくなります。
原価率が高くても回転率を高くして利益を得られているお店や業態もありますが、初めて開業するなら無理はせずに原価率を抑えられる業態を選ぶ方がよいでしょう。いずれにしても原価率は最初が肝心なので、オープン前にしっかり計算してくださいね。
原価率の設定は経営者を悩ませる課題です。細かい価格の変更はオープンしてからでもできますが、大幅な値上げは売上だけでなくお店の信頼にも影響するため、適切な原価率を計算しておく必要があります。
原価率の計算なんて面倒だと思わずに、経営者の責任としてしっかり計算しておきましょう。
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