フランチャイズとは企業のブランド力と経営ノウハウを活用する仕組み

最終更新日：2023年11月10日

事業をはじめる際にメリットばかり見ていると、思わぬところに落とし穴があるものです。開業前には、運営する業態のメリットやデメリットなど、さまざまな面から分析する必要があります。

こちらのコラムでは、運営方法や特徴が大きく異なるフランチャイズと代理店について解説しているほか、オーナーの成功と失敗の事例にもふれています。独立を検討しているかたは、業態の特徴を知って自分にあった開業方法を見定めてみましょう。

• 1.フランチャイズとは？メリット・デメリット
• 2.ロイヤリティ金額の価値を見定めることが重要
• 3.フランチャイズ開業までの流れ
• 4.代理店とは？メリット・デメリット
• 5.フランチャイズは儲からないイメージ？成功するポイントと失敗例
• 6.代理店で成功する秘訣～絶対失敗したくない人へ～
• 7.まとめ

1.フランチャイズとは？メリット・デメリット

フランチャイズのチェーン店は、コンビニエンスストアや飲食店など、多くの企業で採用されている運営方法です。ここでは、フランチャイズのメリットやデメリットを含む、事業の特徴を解説します。

・フランチャイズは本部の商品や販売方法を利用

フランチャイズは、加盟店契約することにより、本部の商品や販売方法などを利用して運営する方式です。本部によっては直営店を運営するケースもありますが、人材や資金を自社でまかなわなくてはいけません。

その点フランチャイズでは、加盟者から加盟金やロイヤリティなどを資金源として加盟店を増やすことができます。これによってブランド力を強化しながら、スピード感のある規模の拡大が実現できるのです。

いっぽうの加盟店は、本部のブランドの力を利用しながら収益を得ることになります。フランチャイズ経営は、本部と加盟店の相互に利益の出る、効率のよい運営方法のひとつなのです。

・フランチャイズのメリット

フランチャイズは加盟することにより、本部のブランド名や経営のノウハウを一度に取得することができます。本部の知名度が高ければ、既存の顧客がついていることもあり、集客しやすい点は大きなメリットです。さらに、本部で培われた経営ノウハウを活用することで、開業時から運営が安定しやすいのも特徴です。

また、開業前後には本部から経営面や資金面などにおいて、さまざまなサポートが受けられる点は、フランチャイズの魅力のひとつです。資金面では、広告宣伝費や人材採用など、本来なら費用がかかってしまうことも本部が負担してくれる場合があります。開業資金が足りない場合も、自社ローン制度や資金調達のサポートを受けられることもあるのです。

経営面では、本部のスーパーバイザーなどが、より収益を上げるための運営指導やアドバイスをしてくれることもあります。加盟者が業界未経験であっても、本部が研修などをおこなっていれば、専門性の高い知識や技術を習得することができるのです。

・フランチャイズのデメリット

フランチャイズの場合、加盟店は本部から得られる経営ノウハウなどの対価として、毎月ロイヤリティを支払うことがほとんどです。業種によってロイヤリティ金額はさまざまですが、場合によっては収益を大きく圧迫します。

ほかにも、加盟金などの初期費用の発生によって、開業時に多額の資金が必要になってしまうデメリットもあるのです。本部に支払うロイヤリティについては、このあとさらにくわしく解説します。

またフランチャイズの場合、契約によってさまざまな面で制限を受けてしまうのも難点になります。加盟店は、本部のブランドイメージを守りながら運営していかなくてはいけません。

本部では、接客などのサービスがマニュアル化されていることも多く、加盟店は指示通りに運営をすすめていかなくてはならないのです。このため自由度が低く、自分の思うような店舗運営ができないこともあります。

フランチャイズは代理店とは異なり、ひとつの会社と契約するので、他社などから商品を仕入れることも禁止されています。また、本部や系列店でイメージダウンにつながる不祥事などが起きてしまうと、風評被害などで集客や売上が低下してしまうというリスクもあります。

2. ロイヤリティ金額の価値を見定めることが重要

フランチャイズ展開している企業は数多くありますが、加盟条件や必要となる開業資金はそれぞれ異なるものです。とくに毎月本部に支払うロイヤリティは加盟にあたって重要な判断基準となります。ここでは、加盟先を選ぶ際のポイントとなるロイヤリティについて解説します。

・本部サポートとのバランスがポイント

フランチャイズに加盟する際は、加盟金や保証金のほか、毎月本部にロイヤリティの支払いも発生します。フランチャイズ加盟することで、ブランド名の使用や本部からのサポートを受ける権利などを取得することができます。ただし、支払うロイヤリティの金額にどれだけの価値があるかを見定めなくてはいけません。

本部によっては、高いロイヤリティを支払っても経営サポートがなく、長期的な経営が困難な場合があるのです。ロイヤリティの金額と本部サポートのバランスがとれたフランチャイズ企業と契約することをおすすめします。加盟前にはロイヤリティに対して、本部からどれだけのサポートが受けられるかを把握しておきましょう。

・ロイヤリティ金額は本部によって算出方法が異なる

ロイヤリティの金額は、本部や業種によって算出方法が異なり、それぞれにメリットとデメリットが異なります。毎月固定制の場合もあれば、加盟店の売上によって変動する方式を採用しているケースもあるのです。
例えばロイヤリティが固定制なら、一定以上の売上をあげることができれば利益も多くなっていきます。しかし、売上がない場合はロイヤリティが経営を圧迫するおそれがあるのです。

ロイヤリティが変動式の場合は、予測がつきにくいというデメリットがあります。ただし、一定の売上をあげることができればロイヤリティ比率が下がる方式を採用している本部もあります。
ロイヤリティは数字だけで判断するのではなく、算出方法まで把握しておきましょう。開業後にトラブルにならないよう、本部から提示される契約内容を詳細まで熟読して、納得したうえで契約することをおすすめします。

3.フランチャイズ開業までの流れ

フランチャイズは、いくつかのステップを踏んで開業することになります。開業までの過程は本部などによって異なりますが、一般的な流れは以下の通りです。

まずは加盟先の情報を入手するために、本部へ資料請求をおこないます。資料にはおもな事業内容のほか、契約プランなどが記載されています。さらに本部のくわしい情報を得るには、事業説明会に参加することがおすすめです。事業説明会では、資料には記載されていないよりくわしい事業内容を知ることができるはずです。

事業説明会への参加で加盟を強制されることはないため、複数の本部を比較しながら自分に合ったフランチャイズ企業を選ぶようにしましょう。説明会に参加をして加盟する意思が固まったら、本部に加盟の申し込みをします。本部の社員や幹部と面談などがおこなわれて、審査を受けることになります。

本部の審査を通過することができれば、いよいよ契約です。本部からは契約書をはじめ、さまざまな書類が提示されますが、契約内容は詳細まで必ず目を通しておくことが重要です。契約内容に目を通さずに署名してしまうと、開業後に本部とトラブルになってしまうおそれがあるので注意しましょう。

4.代理店とは？メリット・デメリット

代理店には、広告会社や保険会社のほか、さまざまな業種があり特約店や販売店などの種別が存在します。ここでは、フランチャイズにない代理店の特徴を含め、メリットとデメリットなどについて解説します。

・代理店は委託契約

代理店とは、商品を生産している本社から、委託契約によって販売を請け負う業態のことをいいます。本社にとっては、直営店よりも代理店を増やすほうが、固定費などの経費をかけずに効率よく販路を拡大していけるため、生産のみをおこなう事業もあります。代理店は、大手企業のほか、個人で副業として運営されていることも数多くあります。

・代理店のメリット

代理店の特徴として、初期投資費用が少なくても開業できるのが大きなメリットのひとつです。たとえば、自宅でも開業できるような保険代理店であれば、20～30万円前後の資金で経営をはじめることができます。

委託本社から商材を仕入れれば、すぐに開業することができ、販売ノルマなどもとくにありません。さらに、フランチャイズのように、委託会社へ加盟金やロイヤリティなどの費用を支払うこともないため、売上を上げるほど得られる収入も増えることになるのです。

代理店は販売方法が自由なので、運営などがマニュアル化されていることがないため、委託本社からのルールに縛られるようなこともありません。そして、メーカーによる制限もないため、複数の会社からさまざまな商材を仕入れて販売することができるのです。

・代理店のデメリット

代理店では、委託会社による商品や販売などの研修があったとしても、フランチャイズのように、継続的なサポートや経営面や資金面などの手厚い支援は、ほとんどありません。このため、開業時に必要な行政への手続きや申請書類の作成など、フランチャイズなら本部が代行してくれるようなことも自分でしなくてはならないのです。

また、委託会社からの運営指示もなく自由度は高い反面、自分で商品の販売方法など考え、新規顧客も自ら開拓していくことが必要になってきます。代理店は、営業力や販売力が求められる事業になるのです。さらに、商品の販売だけでなく、アフターサービスなどもしていかなくてはなりません。

委託本社から経営ノウハウなどが取得できるわけではないため、売上予測も立てにくいことから経営が安定しにくいというデメリットもあります。業界未経験で開業した場合は、開業から運営が安定するまで、長い期間が必要になるかもしれません。

5.フランチャイズは儲からないイメージ？成功するポイントと失敗例

フランチャイズ経営は、儲からないといわれることもあります。しかし、フランチャイズ開業した店舗が全部経営に失敗しているわけではありません。フランチャイズや代理店に限らず、どんな事業形態であっても、運営するオーナーの努力しだいで得られる収益は変えることができるものです。

・フランチャイズで儲かるオーナーに共通する特徴４つ

フランチャイズで儲かるためには、オーナーの姿勢も大切です。ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、コツコツと積み上げていくことが成功への近道といえるのではないでしょうか。

〇習得した経営ノウハウを活用している
本部で培われた経験や実績が詰まっている経営ノウハウは、成功のパッケージともいわれています。加盟店は、本部から習得したノウハウを徹底的に活用することで、経営を安定化させることができるのです。

〇経営理念に共感をもち運営できている
どんな事業にも、経営の理念が存在します。加盟者は、本部のもつ理念に共感して同じ方向性で運営をしていくことが重要です。方向性が定まっていれば結束力も高まり、ブランド力の強化にもつながるはずです。

〇本部のアドバイスを理解し運営に活かしている
フランチャイズの本部によっては、SVなどの担当者から加盟店に対して、経営アドバイスや運営指導をおこなうことがあります。本部からのアドバイスも、経営ノウハウのひとつです。アドバイスの内容を理解して改善などを繰り返すことで、オーナーとともに加盟店はより成長していくものです。

〇本部との関係性を大切にしている
フランチャイズに加盟したあとは、本部と良好な関係を継続させていかなくてはなりません。そのためには、本部と加盟店が独立した立場にありながらも、協力し合って運営をすすめていくことが大切です。

・フランチャイズで失敗してしまうオーナーに共通する特徴３つ

フランチャイズ開業で失敗するのは、必ずしも本部が悪いわけではなく、オーナーが要因となっていることもあるのです。ここでは、フランチャイズに失敗しやすいオーナーの特徴を解説します。

〇本部の経営方針に従っていない
フランチャイズの加盟店は、本部のブランドイメージを崩すような運営をしてはいけません。本部から提供されたノウハウを活用せず、自分がやりたいように運営していては、経営理念に反するだけでなく、顧客を裏切ることにもなりかねません。

〇加盟店オーナーに人間力がない
加盟店のオーナー自身が責任をもって運営しないことも、経営失敗の大きな要因になります。仕事に対する熱意がオーナーになければ、部下などの従業員がいたとしても、長くは続かないはずです。本部に依存しすぎる他力本願な運営をするオーナーも、経営においても売上や集客を高めるために自ら努力することもないでしょう。

〇本部との関係性が悪い
フランチャイズ経営は、本部と加盟店の関係性がとても重要です。本部から受けた経営指導の内容を理解しようとしなかったり、アドバイスを聞き入れず、改善もしないようなオーナーでは、本部との関係も悪くなるばかりです。

フランチャイズ加盟店は、本部に雇われているわけではなく、お互いが独立した立場にあります。本部を見下すようなことがあってはいけませんし、加盟店がいいなりになってばかりいても本部との信頼を築いていけるような関係性は生まれないでしょう。フランチャイズの事業全体が成長するためには、本部と加盟店が切磋琢磨できるような関係が重要です。

6.代理店で成功する秘訣～絶対失敗したくない人へ～

フランチャイズのようにバックアップのない代理店で成功するかどうかは、開業する自分自身の実力によって大きく左右されます。ここで、代理店を成功させるためのポイントをおさえておきましょう。

・【秘訣その１】儲かる商品・サービスを選ぶ

代理店だけでなく、商売全体にもいえることですが、事業を経営していくうえで大切なのは、どれだけのニーズがあるかです。取り扱おうとしている商材に需要がなければ、いくら販売しても売上を上げることは困難になるでしょう。

また、利益率についても考えておくことが大切です。委託会社からいくらの原価で仕入れて、どれくらいの儲けが出る商材なのか、利益面もしっかりと把握しておきましょう。あらかじめ需要や原価などのリサーチをしておかないと、開業に失敗するリスクも高くなってしまうおそれがあります。

・【秘訣その２】自分のノウハウが通用するかどうか試す

販売したい商材がある場合、事前に自分でサンプルなどを購入してテスト販売してみることをおすすめします。いきなり本契約を結んでも、売上がとれなければ意味がありません。

本契約を結ぶまえにテスト販売しておけば、商材の感想によってニーズを把握し販売の計画も立てやすくなるため、運営に失敗するリスクも軽減することができるのです。なにより、自分の販売方法や商品知識などがお客様に通用するのかどうか確かめることもできます。

・【秘訣その3】研修や販売フォローのある企業を選ぶ

代理店では、フランチャイズのような継続的な充実した支援はないものの、委託本社では商品知識を身につけるための研修や販売のフォローをしてくれることもあります。ただし、まったく支援のない委託会社があるということも覚えておかなくてはいけません。

代理店契約を結ぶまえには、委託会社にサポートがあるかという情報はあらかじめ仕入れておく必要があります。とくに開業がはじめての場合は、慎重に委託会社を選ぶことがおすすめです。

・フランチャイズと代理店「いいとこ取り」のシステムってないの？

ここまで、フランチャイズと代理店について解説してきましたが、それぞれにメリットとデメリットがあることはおわかりいただけたと思います。しかし、これから開業を検討するかたにとっては、どちらの方法で起業しようか迷うかたも多いでしょう。

フランチャイズは、初期投資費用がかかってしまうというデメリットがありましたが、すべての業種で多額の開業資金が必要になるというわけではありません。フランチャイズの本部には、独自の加盟特典や支援制度を設けていることもあります。加盟金やロイヤリティが不要の本部もあり、加盟店の負担が軽減される仕組みもあるのです。

フランチャイズの窓口では、さまざまな業種でフランチャイズ加盟店を募集している企業の検索ができ、各本部の開業メリットや特徴を知ることができます。とくに、開業がはじめてのかたにはおすすめの比較サイトなので、ぜひご参考ください。
〇フランチャイズの窓口

・おすすめのフランチャイズ3選

ここでは、実際に代理店を募集している本部を、いくつかご紹介します。業界の特徴などを含め、参考としてぜひご覧ください。

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7.まとめ

フランチャイズと代理店には、運営方法のほか、それぞれのメリットやデメリットも大きな違いがあります。代理店は初期投資も低く、自由度の高い開業ができますが、本社からの継続したフォローを受けられることはほとんどありません。いっぽうのフランチャイズは、本部へのロイヤリティなどが発生しますが、充実したサポートを受け続けることができます。

独立する業態で迷うときには、特徴を知って自分に合った事業で開業することをおすすめします。ただし、フランチャイズにおいても加盟店の負担を軽減できるような、独自の特典や支援制度を設けている本部は増えています。

フランチャイズの本部を検索するには、フランチャイズの窓口を活用してみましょう。各本部の特徴や開業メリットなど、さまざまな情報を入手することができます。成功する秘訣を忘れずに、開業に失敗しない独立を目指しましょう。

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