最終更新日:2023年11月10日
続々独立開業中!独立開業をした方々に人気のフランチャイズ本部ベスト10を公開中。
いま注目の急成長ビジネスがひと目でわかります。
保険代理店という仕事は、「保険」という特殊な商品を取り扱います。そのため、独立・開業したとき、どういった計算方法で年収が決定するのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは保険代理店を独立・開業した場合の年収計算方法や、キャリアごとの年収例などについて詳しく解説していきます。
保険代理店とは、保険会社と顧客の仲立ちとなって、保険商品の紹介や契約手続きなどを代行する仕事です。イメージとしては、保険商品の開発元である保険会社から商品を仕入れ、顧客に販売する小売店のようなものだといえます。保険会社はより優れた商品を開発するために力を注ぎ、保険代理店に顧客の発掘や商品の紹介・契約などを任せるといった形の分業体制が築かれている場合もあります。
保険代理店の経営で重要となるのは、一般的に複雑で理解が難しい保険商品の特徴を、顧客に対してわかりやすく魅力的に伝えることです。また、顧客にとっての信頼できるパートナーとなり、顧客が望む保険商品を検討・紹介できる必要があります。さらに、契約・解約・補償内容変更などといった手続き全般や、事故の際の受付や対応、保険金請求のサポートなどといった業務を、スムーズに行える知識とスキルが求められます。
こうした特徴を持つ保険代理店を独立・開業した際の収入は、主に自分が契約した保険料によって決まり、「保険料×保険料率」という計算式で求めることが可能です。保険料とは、顧客(保険契約者)が契約に基づいて支払う料金のことです。顧客がなにかしらの危険をこうむった際に補償が受けられる対価として、保険会社に支払います。保険契約における保険料には、「月払い」「年払い」「一時払い」などの支払い方法があり、契約時に選べたり、保険のタイプによって決まっていたりします。一方で保険料率とは、保険金額に対する保険料の割合です。保険料率は、保険のタイプや顧客の保険加入年齢などによって変動します。
保険契約成立時、顧客は保険会社に保険料の支払いを行い、その翌月に保険会社から保険代理店へと手数料が支払われます。この手数料が、保険代理店にとっての収入となります。一時払いの場合、保険代理店への手数料の支払いは一度だけですが、月払いであれば保険代理店は手数料を毎月受け取ることが可能です。保険代理店経営者としてのキャリアを積み、契約件数をどんどん増やすことができれば、それにともない受け取れる手数料も増え、月収および年収が増えていくという仕組みです。
保険代理店経営者の年収はさまざまながら、キャリアによってある程度相場が決まっています。保険代理店の年収を割り出す際、基準となるのが年間の正味収入保険料です。正味収入保険料とは、保険会社に支払われた保険料のうち、その会社の業績や売り上げを表す指標となる部分を指します。支払われた保険料から、保険契約者である顧客に払い戻す解約返戻金と、積立型保険の貯蓄部分の保険料を控除して、そこから再保険料を差し引くことで算出できます。
独立・開業して間もない新人経営者の場合、年間の正味収入保険料は3000~4000万円程度です。保険代理店としてのキャリアを10年ほど積んだ中堅経営者になると、およそ6000~7000万円になります。キャリアに関係なく次々に契約件数を伸ばしていくような敏腕経営者の場合、年間の正味収入保険料が1億円を超えることもあります。この年間の正味収入保険料の額から、だいたいの年収を導き出すことが可能です。前述の数字からそれぞれの経営者の年収を計算すると、新人経営者が450~600万円、中堅経営者が720~840万円、敏腕経営者なら1200万円以上が年収の相場となります。
もちろん、年収がそのまま所得になるわけではなく、年収から必要経費などを差し引いた額が実際の所得目安になります。また、社員を雇っている保険代理店であれば、経営者自身の年収は低くなります。それから、保険代理店を経営者が単身で運営している場合でも、節税のやり方などによって年収は変わってくることがあります。
保険代理店として独立するための開業資金は、それほど高額ではありません。開業時に必要になるのは、パソコンや固定電話、机や椅子などといった備品費用、家賃や敷金・礼金などの事務所費用です。ほかには、事務所の火災保険や、代理店賠償責任保険などといった各種保険費用も必要になります。その総額は、他業種に比べて低くなることがほとんどです。しかし、保険代理店はいろいろと出費が多く、収入に影響しやすいという特徴を持ちます。
保険代理店の経営では、基本的に主な収入が代理店手数料のみとなります。提携している保険会社によっては多少のボーナスを支払ってくれるケースもありますが、その額も契約件数に応じて決まるのが一般的です。そして、保険代理店を個人経営している場合、各種年金や健康保険の料金を手数料収入のなかから支払わなければいけません。加えて、企業に勤めるサラリーマンのような退職金制度がないので、仕事を引退したときに備えて退職金を自分で確保しておく必要があります。また、仕事で使用する衣服や鞄、筆記用具などの費用、顧客と面談する際の交通費や飲食代なども、すべて個人負担です。さらに、経営が好調であればあるほど、契約を交わした顧客や仕事関係者に送る年賀ハガキなどの費用が増えていきます。
このように、保険代理店の経営はさまざまな出費がかさみます。ですから、年収だけを見て「儲かる・儲からない」を判断するのは少し難しいといえるでしょう。
保険代理店として独立・開業するにあたって注意しなければいけないのが、保険業界と保険会社の動向です。たとえば、保険業界の市場が活性化しているか否かによって、保険代理店の収入も大きく変化します。保険業界の市場規模は、他業界よりも比較的大きいといえます。その一方で、労働者の数は他業界と比べても平均的となっています。つまり、市場規模のわりには、労働人口が少ない傾向が見られるということです。その理由の1つが、日本全体の人口の減少です。このまま人口の減少が続けば、保険業界の労働人口も少なくなり、市場が縮小していくことが予想されます。加えて、人口の減少は顧客数の減少にもつながるため、契約件数の減少=保険代理店の収入減少という流れが生まれる可能性もあります。
そして、保険会社も保険代理店に対して、手数料をあまり支払わなくなっています。そのため、保険代理店の収入にも影響を与えています。また、保険業法が改正され、「意向把握義務」や「情報提供義務」などが新たに導入された点にも注目です。保険業を行ううえでの規制が厳しくなったため、これから独立・開業を目指そうとしている人は、しっかりと知識を習得しておく必要があるでしょう。
保険代理店は開業資金が比較的少なくて済むものの、さまざまな出費を自分で負担しなければいけないという特徴を持ちます。加えて、独立・開業の際は、人口減少の影響で保険業界の市場が縮小傾向になっていることや、保険業法の改正で規制が厳しくなっているといった点に注意しなければいけません。しかし、保険代理店の年収は「保険料×保険料率」によって決まるため、契約件数を増やせば増やすほど、収入も増えていくのが魅力的なメリットです。保険商品への理解を深め、顧客に対し高品質なサービスとサポートを提供できれば、大きなビジネスチャンスを生み出すことができるでしょう。
カテゴリ