最終更新日:2023年11月10日
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開業届の正式名称は「個人事業の開廃業届出書」といい、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類です。開業届は期限内に提出しないからといって罰則があるものではありません。罰則が無いことや、開業届を出すと会社に副業がバレるなどの噂を鵜呑みにする人もいるため、提出していない人もまだ多い状況ではありますが、提出することによって受けられるできるさまざまなメリットがあります。
ここでは、フリーランスとして働く際に提出する開業届の書き方を説明します。
開業届(個人事業の開廃業届出書)は、開業時には必ずしも出さなくても特に罰則が無いうえに、事業自体は始めることは可能です。確固たる開業の意図の無いまま人から頼まれた仕事がそのまま事業になってしまった人などは割と数多くいます。副業で事業をおこなっている人の中には「開業届を出すと副業がばれる」として届を出さない方が良い、と言っている人さえいます。それでも開業届を出した方が良い理由は何でしょうか。
実は開業届を出していれば、出していない場合に比べて特に税務上だいぶ優遇されることが多いのです。また、税金についての優遇だけでなく、開業届を出すと事業の屋号で銀行口座を作ることができるようになります。別に個人の口座でも事業をする上で大きな差支えはありませんが、屋号の口座があれば、自身のプライベートな口座を取引先に公表するのも控えることができますし、顧客からの信用力も上がります。プライベート用の口座と事業用の口座をきっちり分けることで経理についてもやりやすくなります。
もし法人との取引を検討しているならば、個人であってもきちんと正規の手続きにのっとって取引をしていることの証明になることが有利に働くこともあるなど、事業を営む上でのメリットがあります。
先に開業届を提出することで税金についての優遇もさることながら、事業の屋号で銀行口座を作ることができ、事業を営むうえでかなりのメリットになると書きました。
また、開業届を出して税務署に個人事業主として事業を営んでいると認められた場合、事業で得られた所得を事業所得として申告できるようになります。事業所得として認められて申告している場合は損益通算が可能です。損益通算とは、たとえば副業にかかった経費などで損失が出た場合に、本業の利益と損失を相殺することができるというように、ほかの事業や会社の給料がある場合に、損益の合算をしてかかる税金を減らせる効果があります。
また、確定申告の対象になる年の3月15日までに、開業届とは別に『所得税の青色申告承認申請書』を提出することができれば、その対象年度から青色申告をすることが可能です。ただし、それには事業所得で申告できるようになっていることが条件になっています。青色申告で申告をおこなう場合は、複式簿記で記帳した「賃貸対照表と損益計算書」を作成・提出して、期限内に申告することで、所得から65万円の控除を受けることが可能です。いわゆる白色申告とよばれる複式簿記で記帳しない簡易帳簿で申告した場合でも10万円の控除が受けられます。
かつては帳簿の書き方が楽なことで控除が少なくても白色申告を選ぶ人も多かったのですが、平成26年からはすべての人が記帳制度対象者になり、複式簿記での提出が義務付けられたため、白色申告のメリットは失われてしまいました。そのため、ほとんどの方が65万円の控除の青色申告をすることになるでしょう。
また、青色申告をおこなうと、事業活動において家族に支払った給料を全額経費扱いにすることができますし、赤字が出た場合、最大で3年間翌年の利益から赤字分を引いて申告することができるため、かなりの節税効果があります。また、経費として認められるものが増えるなどの効果もあります。たとえば、賃貸物件で暮らしている人なら家賃の一部や水道光熱費の一部が経費として認められる場合があります。開業して順風満帆のスタートを切れなかった場合でも、生活にかかる費用を経費として扱えるのは大きなメリットと言えるでしょう。
開業届の記入項目にも必須のものとそうでないものがあります。必須項目は提出先の税務署名と提出日、納税地の住所と電話番号、開業する人の氏名と生年月日・押印、個人番号(マイナンバー)、職業、所得の種類と開業・廃業等日です。そのほかの項目は必要に応じて記載をします。『納税地』には事務所の住所と電話番号を記入します。その際、自宅で作業をする方は納税地として自宅の住所を記入しましょう。すぐ下に『上記以外の住所地・事業所等』がありますが、こちらは納税地以外に住所地・事業所等がある場合に記入します。無い場合は空欄でかまいません。『職業』『所得の種類』『開業・廃業等日』ですが、こちらは少々分かりにくいので記載するときは注意が必要です。
まず職業については書き方に厳密な決まりはありません。開業届の職業欄は、開業後に収めることになる『事業税』を決める際の判断材料として記入するものです。実は事業税とは、職業によって業種が分類され、非課税な業種と課税対象になる法定業種に分けられます。法定業種も70種類あり、第1種事業として37業種、第2種事業として3業種、第3種事業として30業種が定められ、それぞれに個人事業税の税率や課税・非課税が違っています。
例をあげてみると、非課税業種のなかに『芸術家』があるのですが、絵を描いている事業として、これを『デザイン業』と書いてしまうと5%が課税される第3種事業に該当すると見なされてしまいます。もし自分の事業が税率の著しく違う複数の業態にまたがって展開していたり、記入の仕方によってどの業種とも取られたりするような場合は書き方によってはわざわざ高い税率を選ぶことにもなりかねないので注意が必要です。
『所得の種類』では、個人事業で得る所得の種類を「不動産投資」「山林所得」「事業所得」の4つの中から選びます。基本的にほとんどの場合は事業所得に該当します。『開業・廃業等日』は文字通り開業または廃業した日のことですが、別に厳密な定義は無いので「開業届を提出した日」や「事業を始めようと思った日」でもかまいません。
開業届を提出する際に、税務署で直接提出する場合ならまだすぐに対処できますが、郵送で提出の際に間違いがあると、修正のためのやりとりで提出日が遅れてしまいます。場合によっては税務申告の優遇にもかかわってくるので、特に郵送での退出を予定している人は失敗の無いように注意が必要です。
提出日は、原則として開業届は事業開始から1カ月以内に提出となっています。これは特に罰則などは無いためさほど気にしなくても良いですが、何として合わせようと考えている方は、提出期限は事業開始から1カ月であり、提出期限が土・日曜日・祝日に重なる場合は、これらの日の翌日以降の最初の平日になることを理解しておいたほうがよいでしょう。また、氏名の欄の押印も忘れないようにしましょう。後述しますが複写方式のものの場合注意が必要です。押印自体は認印でOKですが、プライベートとの混在を避けるためにも事業用に使う認印を作っておいてもよいかもしれません。
開業届をインターネットからダウンロードする場合には、1枚でそれを自分で必要枚数分コピーして、提出用と控用を用意する必要があります。役所などに置いてあるものでは初めから2部複写になっているものもあります。また自治体によっては4枚複写のところもあるなど違いがありますので記入の際の注意事項を良く読んで、間違いの無いように記入しましょう。
また、開業届自体に入手方法ですが、提出日近くになって自治体や税務署の窓口に出向いて貰ってくる場合は問題ありませんが、いつか出そうと思って数年前に貰ってきていた用紙などではフォーマットが変わっていて記載事項が不足していて不備扱いになってしまう可能性もあります。平成28年以降は以前無かったマイナンバーの記載も項目に加わっています。ネットで書類を手に入れる際にもダウンロード元の表記に注意して、最新のフォーマットのものを入手するようにしましょう。
先にも書きましたが、平成28年以降の開業届にはマイナンバーを記載する必要があります。その際の本人確認も必要になりました。しかし、届出書の控えを保管する場合においては、個人情報の取り扱いへの配慮の観点から控えには個人番号を記載しない(複写により控えを作成し保管する場合は、個人番号部分が複写されない措置を講ずる)ように注意する必要があります。
事業を開始して、一定以上の収益を得た場合、確定申告が必要になりますが、その際に青色申告が使えるのと使えないのでは収める税金に大きな差が出てしまいます。そうであれば青色申告をしたいと思うのが人情ですが、青色申告を利用するには青色申告承認申請書(正式名称は「所得税の青色申告申請書」)を税務署に提出しなければなりません。その青色申告承認申請書は開業届を出していなければ提出できないのです。そのため、開業届を出すと同時に青色申告承認申請書も提出するのが一般的です。なお、開業届は業務開始から1カ月以内に提出する必要はありますが、実質的に罰則があるわけではありません。しかし、青色申告承認申請書は、青色申告をはじめようとする年の3月15日まで、または1月16日以降の開業の場合は開業から2か月以内に提出する必要があります。
それでは青色申告のためには普段からどういったことをする必要があるのでしょうか。青色申告が承認されたら、事業で動いたお金の流れを明確にするために日々の取引を記帳して、年末に決算書を作成します。なかでも最高65万円の所得控除を受けるには、確定申告の期限内に貸借対照表を含めた青色申告決算書を確定申告書につけて申告する必要があります。
貸借対照表を作成にあたっては、複式簿記を使用した正しい簿記の記帳が必要です。複雑な複式簿記の使用ができない申告者は、通称で白色申告とよばれる簡易帳簿での記帳でも構いませんが、肝心の貸借対照表が作成できないため、65万円の所得控除が受けられません。そのかわり10万円の所得控除を受けることができます。しかし、平成26年以降、白色申告であっても複式簿記の使用が義務付けられたため、白色申告の『控除額は低いが複雑な記帳の手間が省ける』というメリットが無くなってしまいました。そのため、きっちり65万円の控除が受けられるように普段から毎日の帳簿の記帳を心がけたり、便利な会計ソフトや会計サービスなどを活用したりして青色申告にチャレンジしてみましょう。
開業届の書き方自体は決してむずかしくはありません。届の用紙自体は地方自治体の役所や税務署の窓口で紙仕様のものをもらってくるか、インターネット上では国税庁のホームページ([手続名称]個人事業の開業届出・廃業届出等手続)からダウンロードすることができます。紙での現物の届出用紙の場合は既に複写式になっていますが、ダウロード版のデータ自体は1枚ものなので、自分でプリントアウトの際に提出用と控用をプリントして記入・提出するのを忘れないように気をつけてください。
開業届の記入方法自体はさほどむずかしくはありません。まずは必須事項の書き漏れがないようにすることが大切です。氏名・生年月日や納税地などの既に決まっているものに関しては、書き間違えの無いように注意事項に従って書いていきましょう。その際に、印鑑を押すのを忘れないようにしましょう。マイナンバーに関しては、提出用にのみ記載して自分の控用には記載しません。手書きの際もプリントアウトの際も、間違えて修正の手間が無いように気をつけましょう。
書く内容的に注意すべきは『職業』欄です。記載の部分は書き方自体に厳密な決まりはありませんが、開業後に収めることになる『事業税』を決める際の判断材料として記入するものだという認識を持ちましょう。非課税の職業なのに課税対象の事業で書き表してしまうなどの書き間違えてしまえば、ずっと税率の高い職業として認識されてしまうおそれがあり、必要以上に税金を納めてしまうことになりかねません。
フリーランスとして開業する際は、開業届を提出することでさまざまなメリットがあります。提出するのは面倒だと感じる人もいるかもしれませんが、65万円の所得控除や家族への給料支払を経費扱いにできるなどのメリットは見逃せません。手順通りに記載すれば決してむずかしいものではないため、開業時にはきちんと提出するようにしましょう。
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