最終更新日:2023年11月10日
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主婦が起業をする場合は、自治体や金融機関、民間の団体などが実施しているさまざまな支援制度を知っておくべきです。事業に成功すればパートよりも収入を大幅に増やせますが、起業の仕方によっては資金繰りで苦労してしまう可能性があります。
支援制度を利用すれば、資金調達や経営ノウハウが取得でき、ゆとりを持った起業ができるメリットがあります。特に近年は、女性が活躍できる推進政策も積極的におこなわれているのです。ただし、制度によって要件などの内容が異なるため注意しなくてはいけません。
この記事では、起業したい主婦に向けた開業支援制度や支援事業を解説します。これから起業を検討している主婦の方は、ぜひご覧ください。
ここでは、起業する主婦に役立つおもな補助金・助成金、融資の制度をいくつかご紹介します。それぞれの制度を簡単に説明すると、以下のようになります。
○助成金……厚生労働省・各自治体などが雇用創出や人材育成を目的に実施している制度です。助成額は数十万~数百万円ほどで、要件を満たしていれば高い確率で受給ができ、返済も不要となります。
○補助金……経済産業省・各自治体などが新規事業の振興や地域の活性化を目的に実施されている制度で、助成金と同じく返済は不要です。なかには、補助上限額が1,000万円の制度もあります。ただし、公募期間が短く審査を受けて採択されなくては受給できません。また、希望者が多い場合には抽選となり、申請しても受給できないケースもあります。
○融資……金融機関からお金を借りて事業資金を得ることを意味し、返済が必要になります。助成金や補助金よりも多くの資金を調達したい場合に利用されますが、審査が厳しく返済できる見込みがないと判断された場合は借入できないこともあります。
国や自治体によってさまざまな種類の支援制度があり、特に女性の活躍推進を対象にしているものもあります。従業員の雇用を検討されている方には有益な制度もあるので、ぜひ役立ててください。
地域中小企業応援ファンドは、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が地方公共団体や金融機関と共同出資で実施している助成金制度です。地域中小企業応援ファンドと農商工連携型中小企業応援ファンドがあり、地域貢献性の高い新事業に取り組む中小企業を対象に助成をしています。
例えば、愛知県では地場産業に特化した支援を実施しており、最大で6,000万円の助成金が受給できます。助成期間は、交付決定日から1年以内ですが、事業内容によっては複数年にわたって助成を受けることも可能です。また、新たに県単独のファンド事業を創設して、地場産業以外の産業分野の支援にも力を入れています。
ただし、助成金の受給には、起業する事業の本店所在地がある都道府県のファンドに申請が必要です。ファンドによって助成の内容が異なり、申請できる地域が限られているので事前に確認しておきましょう。
雇用関係助成金は、厚生労働省が実施している助成金制度のひとつです。おもに、人材の雇用に関係する一定の要件を満たすことで助成が受けられます。雇用維持や人材開発など8つの分野からなり、さらに約60のコースに細かく分類されています。(2021年3月現在)ここでは、両立支援等助成金とキャリアアップ助成金を例に挙げて解説します。
・両立支援等助成金
両立支援等助成金は、仕事と家庭の両立や女性の活躍を支援する制度です。出生時両立支援や育児休業等支援など、8つのコースがあり15万円~60万円の助成が受けられます。2020年度に支給要件の拡充や一部緩和が実施されたことで、助成を受けやすくなっているものもあります。
なかでも、女性活躍加速化コースは、従業員の雇用を検討している場合には特におすすめする制度です。女性活躍加速化コースは、女性の活躍に関する職場環境を整備するための数値目標を立てて、達成することで助成を受けられます。支給対象となる数値目標には、管理職に占める女性比率や積極採用などがあります。
女性活躍加速化コースで助成を受けるには、女性活躍推進法に基づいた支給要件を満たさなくてはいけません。また、管轄する労働局長への行動計画の届け出や女性の活躍推進起業データベースに情報の公表などが必要です。
・キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規労働者の減少を目的に定められた制度です。おもに、従業員の正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業者が助成を受けられます。2021年3月現在は、正社員化や人材育成など7つのコースに分類されています。
正社員化コースは2021年2月5日に制度改正され、助成対象が拡充され支給されやすくなっています。有期雇用労働者を正規雇用にした場合には最大で1人あたり72万円の助成を受けることが可能です。生産性要件など、一定の条件を満たせば助成額が加算される場合もあります。
キャリアアップ助成金を受けるには、各コースを実施する前にキャリアアップ計画書を作成し提出しなくてはいけません。他にも、管轄する労働局長に申請書を提出が必要になります。助成金について、さらに詳しい情報を知りたい方は、厚生労働省のホームページをご覧ください。
地域創造的起業補助金は、雇用の創出や地域経済の活性化を目的とした制度で、創業にかかる経費の一部を補助してもらえます。補助を申請するには、創業予定者であることの他に、1名以上の雇用と認定特定創業支援事業による支援を受けなくてはいけません。
補助金額は50~200万円で、補助率は創業経費全体の半分までとなります。また、外部資金調達がない場合は100万円までの補助となるので注意が必要です。
地域創造的起業補助金は、例年4~5月が公募期間で、令和3年2月現在は公募がおこなわれていません。令和3年度の予算が採択されれば公募が始まる可能性もあるので、中小企業庁のホームページやマッチングサイトで提供している情報を確認しておくとよいでしょう。
補助金制度にはさまざまな種類がありますが、公募期間が短く年に1度もしくは数回というケースがほとんどです。また、自治体独自の制度もあるため、起業を検討する場合は開業予定の地域にどのような補助金制度があるか確認することをおすすめします。起業するビジネスに合った制度を利用できれば、開業初期の資金繰りに余裕が持てるはずです。
補助金制度には、開業時だけでなく事業の発展や業務の効率化を目的とした制度もあります。以下の制度も、ぜひ参考にしてみてください。
女性、若者/シニア起業家支援資金は、日本政策金融公庫が実施している融資制度です。女性なら年齢制限がなく、新創業または、開業7年以内であれば事業資金の融資が受けられます。融資限度額は7,200万円で、運転資金は4,800万円までとなります。
日本政策金融公庫では、起業希望者への融資を積極的におこなっています。都市銀行などと比較して金利が低く審査も厳しくないため融資を受けやすいのが特徴です。ただし、資金の使い道や返済期間、担保の有無で利率が異なるので注意しましょう。
新創業融資制度も日本政策金融公庫が実施している融資制度のひとつです。年齢や性別に制限がなく、担保や保証人も原則不要となります。融資上限額は3,000万円ですが、制度を利用するには、創業・雇用創出・自己資金の3つの要件を満たす必要があります。
ただし、新創業融資制度は単体で申し込みができないため、日本政策金融公庫が実施している他の融資制度と組み合わせなくてはいけません。一般的には、要件が似ている新規開業資金と組み合わせることが多いようです。
また、女性の場合は小口創業特例も利用可能です。小口創業特例では、融資上限額が300万円になる代わりに、新創業融資制度で必要になる雇用の創出などの要件が撤廃されます。借入しやすいことから、融資希望額が300万円未満の場合は利用してみてもよいかもしれません。
生活衛生新企業育成資金は、飲食店の営業やクリーニング業・理美容業など一定の業種を創業、もしくは創業して7年以内の事業者に向けた融資制度です。男性の場合は35歳未満か55歳以上が対象ですが、女性であれば年齢制限はありません。
振興計画認定組合の組合員以外の方が利用する場合は、管轄する都道府県知事の推せん書が必要です。また、一定の要件を満たすことで特別利率が適用されます。
日本政策金融公庫には、他にもさまざまな制度があるので、ホームページを参考に自分にあった融資制度を探してみてはいかがでしょうか。
支援制度には、さまざまな制度があることはおわかりいただけたと思いますが、それぞれの制度を利用するには注意すべき点があります。
どの支援制度も、申請してすぐに資金が手に入るわけではないので資金運用の管理が重要になります。制度によっては、申請してから資金を受け取るまでに数ヵ月かかることもあるのです。
助成金や補助金の制度は、使った経費に対して支給をおこなう制度のため、一定の自己資金も必要になるでしょう。融資の場合は、希望融資金額の一定割合を自己資金として持っていることが要件になっていることもあります。
支援制度は定期的に見直されて内容が改正されることがあり、なかには制度自体が廃止されることもあります。例えば、Web上でよく挙げられている制度に女性を対象にした子育て女性起業支援助成金がありますが、この制度はすでに廃止されており、現在は恩恵を受けられません。
また、新型コロナウイルス特別措置法によって、補助や助成をおこなう運営事務局が一時的に閉鎖されることもあります。融資の金利は、特別利率は政策金利などをもとに改定されるため注意が必要です。支援制度の利用を検討する場合は、最新の情報を確認しておくことをおすすめします。
助成金・補助金に関する問い合わせや申請先は、法人化が進んでおり、地域や制度によって担当事業者が異なることがあります。例えば、雇用調整助成金の受付は各ハローワークや労働局が担当です。しかし、65歳超雇用推進助成金の場合は、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構が受付窓口となります。
支援制度の種類や申請先などをどう調べたらいいかわからない方は、以下のサイトを参考にしてみてください。国や各都道府県が実施している創業に役立つ支援情報を、まとめて検索することが可能です。
補助金・助成金、融資を利用するには、申請の際にそれぞれの制度に沿った必要書類を準備しなくてはいけません。先ほど解説した助成金や補助金の制度は、厚生労働省のホームページなどから申請書をダウンロードして使用することも可能です。しかし、聞き慣れない用語が並び複雑な書類も多いため、作成が初めての場合は大変な労力がかかるはずです。
また、融資を検討する場合は、提出した書類が審査の判断材料になるため、理解しやすく説得力のある内容にしなくてはいけません。審査に必要となる書類のひとつが、事業計画書です。事業計画書は、立ち上げる事業がどういったものなのかを説明するための重要な資料です。ただし、決まった書式がないため盛り込む内容を自分で考えなくてはいけません。
もし事業計画書や申請書類の作成が自分では難しいと感じた場合は、中小企業診断士や税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。商工会議所や自治体の窓口などでは、起業時の相談もできるので利用してみるとよいでしょう。
民間の団体には、女性の起業を総合的にサポートしてくれる事業が数多くあります。なかには、コンペティションを開催している事業もあり、受賞できれば支援金を提供してもらえるところもあります。
日本政策投資銀行が運営する女性起業サポートセンターでは、女性起業家を対象としたオンラインセミナーやコンペティションを定期的におこなっています。定期開催している女性ビジネスプランコンペティションは、女性経営者で開業5年以内であれば応募が可能です。
自分のビジネスプランを発表して受賞すると、最大で1,000万円の事業奨励金が支給されます。また、受賞者は、ビジネスプランを実施するための事後支援を受けられるのも大きな魅力です。
一般社団法人の日本起業アイディア実現プロジェクトは、起業や事業拡大を目指す女性の支援をしています。ビジネスコンテストが定期開催されており、グランプリを獲得すると最大200万円が支援金として提供されます。20歳以上の女性起業家であれば、学生でも応募が可能です。また、起業後でも新事業を展開するのであれば、応募できます。
経済産業省では、地域の金融機関や産業・創業支援機関を中心に、女性の起業を支援する女性起業家等支援ネットワークを形成しています。全国で女性の起業にまつわるイベント・セミナー・相談会などを開催しているので、参加してみてはいかがでしょうか。特に、起業経験者の成功事例は、ビジネスを立ち上げるうえで参考になるはずです。
他にも、女性の起業支援をおこなっている事業は数多くあるので、各自治体の制度も確認してみましょう。起業の支援事業に関しては、以下のサイトもぜひご覧ください。
資金があっても、経営のノウハウがないからと起業をあきらめてしまう人がいます。起業が初めてで家庭がある場合は、安定した収入を得られるだろうかと不安もあるでしょう。その場合は、フランチャイズで起業することを検討してみてはいかがでしょうか。
フランチャイズは、加盟先によって資金面だけでなく経営面もサポートしてくれるところが数多くあります。一般的にフランチャイズに加盟すると、本部のブランド名や登録商標の使用権利が取得できます。多くの既存顧客を持っている認知度の高い本部であれば、開業初期でも安定した収入を得やすくなるでしょう。
さらに、フランチャイズは開業時だけでなく、営業を始めてから継続的に経営アドバイスが受けられるのも大きなメリットです。加盟先に研修制度があれば、起業が初めてで業界未経験でも、一定のノウハウやスキルを身に付けてから開業することができます。なかには、本部から初期費用の負担があり、開業リスクを軽減できるケースもあるのです。
ただし、フランチャイズでの起業を検討する場合は、経営の仕組みについて理解しておかなくてはいけません。フランチャイズにはたくさんのメリットがありますが、特有のデメリットもあるからです。フランチャイズの基礎知識や経営の特徴については以下のページを参考にしてください。
○フランチャイズとは?独立開業前に知っておくべきポイントを解説!
フランチャイズには、女性の視点を活かして活躍できるビジネスが数多くあります。おすすめのフランチャイズ本部をご紹介しているので、さらに詳しい情報をリンク先で確認してみてください。
○日本結婚相談所連盟
日本結婚相談所連盟は、婚活業界で最大の会員数を誇るフランチャイズ本部です。1人で開業できるだけでなく、無店舗経営が可能なので固定費の負担を軽減できます。さらに、本来なら毎月本部に支払うロイヤリティも不要です。粗利率も90%以上と高収益なので、安定した収入が見込めます。
○LOVE PET(ラブペット)
LOVE PETは、ペットシッターのフランチャイズです。業界初となる24時間遠隔操作カメラの導入や緊急震災対策など、他社にはないサービスを提供しています。また、サポート体制も充実しており、本部からのお客様紹介制度や未経験者の開業には50万円が支給される制度などがあるのも魅力です。
○ピカソルカフェ
ピカソルカフェは、東京・代官山で35年続く老舗焼き菓子店のフランチャイズです。本店で開業前の個別研修やスタッフ育成、開業後には経営の支援など手厚いサポートが受けられます。また、物件選定の紹介や家賃交渉なども本部が代行してくれるので、起業が初めての場合は大きな支えとなってくれるはずです。
○ブロッサムジュニア
ブロッサムジュニアは、児童発達支援と放課後等デイサービスを運営する社会貢献性の高いフランチャイズ事業です。有資格者の採用や行政機関への申請手続きなどを、本部がサポートしてくれるため未経験でも安心して参入できます。また、費用は国保連合会から受け取るため未回収によるリスクもありません。
女性の起業をサポートする開業支援制度は、地域の自治体によって異なり、支援事業の数もたくさんあります。起業をする前にはできるだけ多くの情報を入手して、利用できる制度がどれだけあるか調べておきましょう。フランチャイズでの起業も視野に入れながら、自分に合った起業方法を見つけてください。
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